エアバス, 官公庁, 機体 — 2022年2月4日 06:01 JST

米次期空中給油機KC-Y向けLMXT、モビールとマリエッタで製造 ロッキード・マーチンが提案

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 ロッキード・マーチンは、米空軍の「ブリッジタンカー」と呼ばれる次期空中給油機KC-Y計画に提案しているLMXT空中給油機を、アラバマ州モビールとジョージア州マリエッタで製造すると現地時間1月31日に発表した。

ロッキード・マーチンがKC-Y計画で提案しているA330 MRTTをベースにしたLMXTのイメージ(同社提供)

 LMXTはエアバスの多目的空中給油・輸送機A330 MRTTを基に開発するもので、受注を獲得できた場合の主契約者はロッキード・マーチン。エアバスのアラバマ工場があるモビールでA330を旅客機として製造後、ロッキード・マーチンのマリエッタ工場で空中給油機に改修する。

 マリエッタ工場には現在C-130J「スーパーハーキュリーズ」輸送機の最終組立ラインと、F-35「ライトニングII」戦闘機の中央翼組立ラインがある。

 A330 MRTTは中型機A330-200を基に開発した戦略空中給油機で、世界14カ国が採用。世界初の全自動ブーム/空対空給油(A3R)システムなどを採用し、米軍機だけでなく同盟国の戦闘機や輸送機、哨戒機などに給油することを想定している。

 LMXTの大きさは全長193フィート(約58.8メートル)、翼幅198フィート(約60.4メートル)、高さ57フィート(約17.4メートル)で、最大離陸重量(MTOW)は53万3500ポンド(約242トン)、航続時間は19.5時間となっている。給油可能な機体はF-35A、F-22、F-15、F-16、A-10、B-1B、C-17、E-3、E-7、P-8A。

 米空軍は、KC-X計画でボーイングの空中給油・輸送機KC-46A「ペガサス」を2010年に選定。1957年から運用しているKC-135「ストラトタンカー」を2028年までに置き換えるため、179機のKC-46Aが製造される見通し。KC-Xは当初EADS(現エアバス)とノースロップ・グラマンが提案したA330 MRTTがKC-45として採用されたものの、機種選定がやり直されてKC-46Aが選ばれた。

 今回のKC-Y計画では、KC-135や1981年に運用を開始したKC-10「エクステンダー」が置き換え対象になる見通し。ロッキード・マーチンは、欧州のエアバス機が母体となるLMXTについて「米国で、米国人の手で、米国人のために製造する」と説明している。

ロッキード・マーチンがKC-Y計画で提案しているA330 MRTTをベースにしたLMXTのイメージ(同社提供)

ロッキード・マーチンがKC-Y計画で提案しているA330 MRTTをベースにしたLMXTのイメージ(同社提供)

関連リンク
LMXT(Lockheed Martin)
A330 MRTT
Lockheed Martin

A330 MRTT
UAE、A330MRTTを追加発注 既存機も能力向上(21年11月15日)
エアバス、カナダ次期空中給油機の入札資格取得 A330MRTT提案(21年4月3日)
NATO、A330MRTT初号機受領 欧州6カ国運用(20年6月30日)

KC-46A
空自向けKC-46A、初号機納入 767母体の空中給油・輸送機(21年11月1日)