解説・コラム — 2022年2月1日 11:11 JST

【御礼】創刊10周年を迎えました

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 平素より航空経済紙Aviation Wireを御愛読いただき、誠にありがとうございます。2012年2月1日に創刊した弊紙は、おかげさまで本日創刊10周年を迎えることができました。これまで弊紙を支えてくださった皆様、取材にご協力いただいた方々に厚く御礼申し上げます。

日本の航空業界が変わった2012年

 創刊当時を振り返ると、国内初のLCCであるピーチ・アビエーションが3月1日に就航する直前でした。2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響などもあり、サイト開発スケジュールが当初計画していた時期よりも後ろ倒しになる中、2月1日はピーチの就航前に創刊する最後のタイミングと考えておりました。

 国内大手の動きを見ると、全日本空輸がボーイング787-8型機を初の長距離国際線である羽田-フランクフルト線へ1月21日に投入した直後、日本航空が9月19日に再上場する前という、日本の航空業界が変わりゆく時期でした。10年という歳月が流れ、当時はまったく予想もしなかった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を業界全体が大きく受けていることは、読者の皆様がご承知の通りです。

報道と広告の違い

 一方、メディアの側から見ると、紙の新聞が年々部数を落としていく中、報道機関の中立性や客観報道といった根幹的な問題が揺らぎつつあるといった危機感を感じます。また、取材先によっては、報道と広告、広報と宣伝というそれぞれ相反する要素を持つものの概念が入り交じっているのでは、という印象を受けることもあります。

 広告や宣伝は発信者側の意志で主観的に世に伝えられるものですが、報道や広報は報道機関など第三者の目を通して客観的に報じられるものです。これは善し悪しではなく、目的が異なるものです。

 われわれ取材する側がしっかりした意志を持ち続けない限り、記事の中立性や客観性が失われたり、広告との線引きがあいまいになる危険性が以前よりも増していると感じています。読者の「知る権利」を守ることも、報道に携わる者が忘れてはならない務めです。

航空に詳しくない方にも役立つ記事を

 弊紙は日本初となる航空分野に特化した経済紙です。専門紙(誌)や業界紙(誌)とは異なり、航空に関する予備知識があまりなくても読める記事を目指しています。これは金融機関や企業、官公庁で、航空分野には詳しくなくても、仕事として担当しなければならなくなった方に、少しでもお役に立てればとの思いで定めた媒体特性です。

 また、航空分野は趣味の領域と親和性が高いことから、編集部員が飛行機好きの趣味が高じて弊紙を発行しているのでは、と見られることがあるのですが、そうではありません。創刊当初、記事を執筆するのは私1人でしたが、2014年4月1日から現在の2人体制になりました。2人とも航空業界には取材対象として強い関心と愛着、敬意を抱いておりますが、趣味の延長線上で取材をしているわけではありません。仕事はあくまでも仕事として最善を尽くすべきだと考えています。

 そして、弊紙は既存の新聞社や通信社、出版社と同様、自らの視点で企画を立案し、自らの脚で現場に出向き、自らの目と耳で現場を捉え、自らの口で取材対象者と言葉を交わし、自らの手で記事を書き写真を撮り、自らの良心に基づき行動することを前提としています。

 メディアとして記事を世に出していく以上、汗を流さず金儲けに走るのは信義にもとるものであり、既存メディアに負けないスクープを追い続けること、例え内容が取材先にとって不都合なものであっても、不当な圧力に屈することなく読者に伝える意義のあるものは報じる意志を持つことが、存在意義だと考えています。

 依然として大変厳しい経営状況ではありますが、これまで以上に気を引き締めて取材に臨み、日本の航空業界発展の一助となるべく、編集部一同、精進して参ります。

 今後とも御愛読、御愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

2022年2月1日
Aviation Wire株式会社
代表取締役社長 兼 創刊編集長
吉川忠行
  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post
キーワード: