機体, 解説・コラム — 2022年1月27日 21:14 JST

ブーム、グリーンズボロに超音速機オーバーチュア製造施設 24年生産開始

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 米ブーム・テクノロジー(Boom Technology、本社デンバー)は現地時間1月26日(日本時間27日)、開発中の超音速旅客機「オーバーチュア(Overture)」の製造施設「オーバーチュア・スーパーファクトリー」の建設地をノースカロライナ州グリーンズボロのピードモント・トライアド国際空港に決定したと発表した。ブームにとって初の本格的な製造拠点となる。年末にも着工し、2024年の生産開始を目指す。

グリーンズボロで最終組立が行われるブームの超音速機オーバーチュアのイメージ(同社提供)

 スーパーファクトリーには、オーバーチュアの最終組立ライン、試験施設、顧客へ引き渡すデリバリーセンターを設ける。65エーカー(約26万平方メートル)の敷地に、約40万平方フィート(3万7000平方メートル)の規模で建設される見込み。

 ブームは2030年までに、ノースカロライナ州に1750人以上、2032年までに2400人以上の雇用をもたらす計画。スーパーファクトリーは20年間で少なくとも323億ドル(約3兆7000億円)の経済効果が見込めるとしている。また、次世代の超音速専門家を育成するため、地元の学生向けにインターンシップを立ち上げる。

 オーバーチュアの座席数はビジネスクラスタイプのもので65席から88席を想定。燃料はSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)を使用する計画で、就航時からネットゼロ(実質ゼロ)・カーボン達成を目指す。最初の機体は2025年にロールアウト(完成披露)し、2026年の初飛行を経て2029年までの就航を予定している。

 全長は205フィート(約62メートル)で、コンコルドとほば同じ。パイロットは2人、客室乗務員は最大4人を想定しており、スピードは現在の旅客機と比べて約2倍のマッハ1.7、航続距離は4250海里(7871キロ)を計画している。アフターバーナーを使わずに3基のエンジンでマッハ1.7の実現を目指す。

ユナイテッド航空のオーバーチュアののイメージ(ブーム提供)

 ユナイテッド航空(UAL/UA)が2021年6月3日に15機を確定発注。オーバーチュアが確定受注を獲得したのは初めてで、35機のオプション(仮発注)付き。

 日本航空(JAL/JL、9201)は2017年12月にブームと提携して1000万ドルを出資し、将来の優先発注権を20機分確保している。また、ブームは米空軍と共同で超音速機の政府用途への応用を進めている。

 ピードモント・トライアド空港には、本田技研工業(7267)の米国子会社ホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)が、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット(HondaJet)」の製造拠点を構えている。

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