「事業構造改革を今進めている。これまでフルサービスキャリア(FSC)事業を一本足でやってきたが、LCC(低コスト航空会社)事業、貨物郵便事業、マイル・ライフ・インフラ事業の4つを今後成長させていく計画だ」。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で特に国際線の旅客需要が大きく落ち込む中、日本航空(JAL/JL、9201)の赤坂祐二社長は12月10日に本社で開いた会見で、今年5月に発表した中期経営計画の進捗状況を報告した。
目玉となったのは、11月でキャッシュバーンの解消とEBITDA(利払前税引前償却前営業利益)の黒字化達成と、2023年度の採用再開だ(関連記事)。国内線の需要回復で財務体質が改善に向かっている一方、新型コロナの変異ウイルス「オミクロン株」の影響で国際線の旅客需要は来春以降の回復を見込む。
赤坂社長は4つの事業領域の現状をどう捉え、2022年はどのように中期計画を進めていくのだろうか。
—記事の概要—
・777-200ERは23年度退役
・国内線「”GoTo待ち”あるかもしれない」
・国際線「ちょっと見直し」
・LCC「中国路線は時間かかりそう」
・貨物「売上高は2倍」
・非航空系「JALとJALUXの強みを生かす」
777-200ERは23年度退役
JALを中核とするFSC事業は、ボーイング777型機からエアバスA350型機への更新を計画通り進めることで、運航コストの削減につなげる。JALは新型コロナの影響が顕在化後の2020年4月に、A350を計画通り受領し、機材更新を進める方針を示していた(関連記事)。
JALのA350はボーイング777型機の後継機で、確定発注は標準型のA350-900が18機、長胴型のA350-1000が13機の計31機で、このほかにオプション(仮発注)で25機購入できる契約を締結している。A350-900は主に国内線用777-200の、A350-1000は長距離国際線用777-300ERの後継となり、A350-1000は2023年度の就航を計画している。10日の会見でも、A350-1000の就航時期に見直しはなかった。
国内線機材のA350-900は、2020年度末の今年3月末時点で8機だったが、10日時点で13機を受領済みで13号機もすでに路線に投入している。今年度末の2022年3月末までに15号機まで受領するものの、受領時期の関係で年度内の稼働は14機になる見込みで、この点も従来からのスケジュールを踏襲した。
また、5機を国際線から国内線に転用した777-200ERは、2023年度中に退役させる。2020年10月発表の計画では2022年度末としていたが、運航期間を1年程度延長する。777-200ERは今年3月まで中距離国際線に投入していた機材で、ビジネスクラスのフルフラットシートは国内線の中間クラス「クラスJ」として運用しており、人気が高い。
国内線「”GoTo待ち”あるかもしれない」
赤坂社長は「11月は速報値で国内旅客需要が(コロナ前の)6割くらいに回復し、国際は10%程度だが、かろうじてEBITDAが黒字になるゾーンに入り、キャッシュバーンも解消した。国内が戻ってきたので明るい兆しが見えてきた。オミクロンの影響は、国内はまったくない」と述べた。
「幹線のビジネス需要は完全に戻っている。戻っていないのは観光と、地方から東京へ来るビジネスも含めた需要。特に観光は、勝手な想像かもしれないが、いわゆる“GoTo待ち”があるのかもしれない。いつやるのかがまだはっきりしないので、航空を使った観光需要が先送りになっているかもしれない、と何となく感じている」と、肌感覚を交えて国内線の現状を語った。
国際線「ちょっと見直し」
収益の柱である国際線については、「3月あるいは
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