日本航空(JAL/JL、9201)は、MaaSのプラットフォーム技術を持つカナダのバンクーバーを拠点とするスタートアップ企業「Spare Labs(スペアラボ)」に同社のファンド「Japan Airlines Innovation Fund(JALイノベーションファンド)」を通じてこのほど出資した。公共交通機関以外にも顧客を持ち、人の移動だけでなくフードデリバリーサービスなどのオンデマンド業務も管理できるシステムを開発しており、Spareはベンチャーキャピタルなどの出資により総額1800万ドル(約20億4300万円)のシリーズAを完了した。
Sapreのシステムは米ダラスなど50都市以上で導入実績がある。「MaaS(マース:Mobility as a Service)」は、航空や鉄道、バス、タクシーなどマイカー以外の異なる交通手段を、一つの移動手段として捉える概念で、ダラスでは路線バスのルートを大幅に減らす一方、Spareのプラットフォームにより、利用者の需要に応じて移動手段を提供するオンデマンド型の交通網にシフトしているという。
JALイノベーションファンドは、2019年に設立されたスタートアップに投資するJALのCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタルファンド)。JALによるとMaaS関連への出資は比較的多く、Spareは対象とする交通手段が多い点や混載が可能な点、新事業領域で簡単に需要予測が可能な点などを評価したという。
最近では徒歩でもマイルがたまるシリコンバレーのスタートアップ「Miles(マイルズ)」に出資し、今年1月には日本法人Miles Japanも立ち上がるなど、出資先との協業も増えている。「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)の分野では独Volocopter(ボロコプター)に出資し、大阪府の実証実験に共同で参加している。
関連リンク
Spare Labs
日本航空
JAL
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特集・JALさん、シリコンバレーで何やってるんですか?
前編 表敬訪問で終わらせない
後編 地に足着いたベタなイノベーションを
【お詫び】
記事初出時に社名の記載に誤りがありました。本文は訂正済みです。お詫びいたします。(21年12月14日 11:30 JST)