ANAホールディングス(9202)は7月30日、米国のパイロット訓練会社パンナム・ホールディングスと子会社の全株式を1億3950億ドル(約137億円)で取得すると発表した。2013年末までに株式取得を完了する予定。
パンナム社は、1980年にパンアメリカン航空(当時)のパイロット訓練部門として設立。同航空の破たん後は、独立系の訓練会社として存続し、米国内や南米、アジアなどのパイロット養成需要を取り込んで成長を続けてきた。12年には基礎訓練学校エアライン・キャリア・アカデミー社も買収し、訓練業務を拡充している。
ANAグループでは2011年にパンダ・フライト・アカデミーを設立し、パイロット訓練事業に参入している。パンダで取得できるライセンスは、国土交通省航空局(JCAB)のもののみだが、パンナム社では米国連邦航空局(FAA)や欧州のJAA(Joint Aviation Authorities)のライセンスを取得できる。
ANAHDの清水信三上席執行役員は「アジアではFAAのライセンスが欲しいという要望が多い。引き抜きも多く行われており、パイロット養成需要が高まっている」とアジアで需要が旺盛だと説明した。
パイロット養成事業は、機材発注があれば訓練が増えるので、航空機市場の拡大が見込まれるアジアでは安定した収益が見込める。ANAHDでは昨年の公募増資で得た資金を活用し、同事業を含む収益領域の多様化を進めていく。
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