全日本空輸(ANA/NH)は12月8日、ボーイング787-9型機の国内線新仕様機(登録記号JA936A)を報道関係者に公開した。2019年に登場した777の新仕様機と同等の落ち着いた雰囲気の客室となり、上級席「プレミアムクラス」は既存機から10席増やした。普通席には787では初めてトヨタ紡織(3116)と共同開発したシートを採用し、エンジンはANAの787では初めて米GE製エンジンを搭載した。初便は9日の羽田発那覇行きNH477便を予定している。
—記事の概要—
・プレミアムクラス10席増
・GEnx-1B初搭載
プレミアムクラス10席増
座席数は2クラス375席仕様で、プレミアムクラス28席、普通席347席。コンフィグ(客室仕様)は「78G」となる。従来の787-9の国内線機材は2クラス395席(プレミアムクラス18席、普通席377席)で、プレミアムクラスが10席増えた。全席に個人用画面と電源コンセント、充電用USB端子を備える。
プレミアムクラスは、サフラン・シート・US(旧ゾディアック・シート・US)製シートを採用。表面を現行の革張りから布地に変更することで、滑りにくくした。個人用モニターは、ANAの国内線用中大型機では最大クラスとなる15.6インチのタッチパネル式のものを採用した。座席配列は2-2-2席の1列6席と、2019年11月に就航した777-200ERの国内線新仕様機よりも1列当たり1席少ない。
大型テーブルはノートパソコンや機内食のトレーを置いたまま離席できるよう、90度回転する機構を採用した。座席間には固定式大型ディバイダー(間仕切り)を設置し、プライバシーを確保した。
普通席は、自動車用シートを手掛けるトヨタ紡織製。座席配列は3-3-3席の1列9席となる。個人用モニターは国内線普通席最大となる13.3インチの薄型タイプを採用した。背もたれのフレーム形状を最適化したり、座面を低くすることで、大柄な人から小柄な人まで、どのような体格の人が座ってもフィットするようにした。テーブルのカップホルダーはクローバー型にすることで、紙コップを取り出しやすくした。
GEnx-1B初搭載
787-9初の国内線新仕様機となったJA936Aは9月13日に受領し、10月13日に羽田へ到着。エンジンはANAの787では初めてGE製GEnx-1Bを採用した。10年前の2011年11月に就航した初号機(787-8、JA801A)以来、これまでANAは英ロールス・ロイス製トレント1000(Trent 1000)を採用してきたが、リスク分散のためGE製も導入した。
ANAによると、同一仕様の787-9は現時点で11月9日に羽田へ到着したもう1機(JA937A)があるが、需要動向をみて就航時期を調整するという。また、既存機についても改修を検討していく。全席モニター付きとなったことから、2022年1月から映画など映像コンテンツも充実させるという。
9日の初便は、羽田を午後3時25分に出発する那覇行きNH477便を予定。那覇には午後6時20分に到着を予定している。
初便の運航スケジュール
NH477 羽田(15:25)→那覇(18:20)
関連リンク
全日本空輸
Boeing
ボーイング・ジャパン
トヨタ紡織
写真特集・ANA 787-9国内線新仕様機
プレミアムクラス編 15.6インチ大画面と落ち着いた客室(22年1月4日)
普通席編 フィット感追求した全席画面・電源付きシート(22年1月4日)
787国内線新仕様機の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ANA 787-9 国内線新仕様機の機内公開【JA936A】
初便の羽田出発と離陸
・ANA、787-9国内線新仕様機が就航 新シートとGEnx(21年12月8日)
羽田に到着
・ANA、初のGEエンジン787が羽田到着 国内線新仕様787-9(21年10月13日)
エバレット製最後のJA937Aも同一仕様
・ANA、エバレット製最後の787羽田到着 GEエンジン機(21年11月9日)
写真特集・ANA国内線777新シート
プレミアムクラス編 15.6インチモニターと落ち着いた空間
普通席編 骨盤支えて疲れにくい全席画面・電源付きシート
搭乗記・ANA 777国内線新仕様機
前編 疲れにくい画面付き普通席
後編 大型モニターと収納が使いやすいプレミアムクラス
ANAの国内線新シート777実機の機内
・ANA、777国内線新仕様機公開 モニター・電源付き新シート(19年11月14日)