新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で航空機に対するニーズも変化する中、リージョナルジェット機市場で圧倒的な世界シェアを誇るブラジルのエンブラエルが、客室の騒音を低減した次世代ターボプロップ(プロペラ)機を計画している。
エンブラエルのターボプロップ機開発は、ボーイングと民間機事業を統合後に乗り出そうとしていたものだ。統合の破談により実現性が一時不透明になっていたが、明るい兆しが見えてきた。エンブラエル民間航空機部門アジア太平洋地域副社長のラウル・ヴィラロン氏は「2027年ごろの就航を検討している」と説明する。
次世代ターボプロップ機の計画や、リージョナルジェットの日本市場を含む世界的な動向、「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸)機について、エンブラエルの戦略をヴィラロン氏に聞いた。1回目の今回は、次世代ターボプロップ機について。
快適性だけでなく貨物も考慮
── 次世代ターボプロップ機のスケジュールはどのようなものか。
ヴィラロン氏:この市場の調査とともに、サプライヤーやパートナー候補と次世代ターボプロップ機の就航に関する話し合いをしているが、(既存機と比べて)乗客の搭乗体験や運航信頼性、運航コストの大幅な改善が必要だ。エンブラエルとしては、2027年ごろの就航を検討している。
── どのような点を改善したいのか。
ヴィラロン氏:現在運航されているターボプロップ機は、特に乗客の体験という点で、数十年前の設計と技術に基づいている。
エンブラエルが設計した最新のターボプロップ機は、燃費やCO2(二酸化炭素)排出量、空港騒音のフットプリント、運航コストを最小限に抑えるソリューションを、現在ターボプロップ機で運航されている路線に提供する。
ターボプロップ機であれば運航コストをかなり抑えられるため、新規市場開拓やインフラが不足している小さな市場に対して有効で、航空会社にとって収益性の高いものとしていく上でも効率的だ。
また、小規模な空港で(旅客機の床下貨物室を使う「ベリー」による)貨物便との接続性を提供する。(旅客機による貨物輸送は)コロナ禍において不可欠であることが証明されている。
── 乗客の視点ではどのような改善が期待できるか。
ヴィラロン氏:新たなターボプロップ機プログラムは、空港でのPBB(搭乗橋)の使用や騒音低減、振動低減、乗客の個人スペース拡大、機内持ち込み手荷物の収納スペース拡大、上品なギャレー(厨房設備)とラバトリー(化粧室)の設置など、ジェット機のような体験をお客様に提供したい。
(つづく)
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Embraer
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