国土交通省航空局(JCAB)は7月26日午後5時、ボーイング787-8型機に搭載された固定型の航空機用救命無線機(ELT)について、航空会社に点検か取り外しのいずれかの措置を求める耐空性改善通報(TCD)を発効した。米国連邦航空局(FAA)が米国内の航空会社に対して同日、同様の耐空性改善命令(AD)を発行したことを受けたもの。
エチオピア航空(ETH)の787-8(登録番号ET-AOP)が12日(現地時間)、ロンドン・ヒースロー空港で駐機中に火災が発生。事故調査を行った英国航空事故調査局(AAIB)は、ハネウェル・インターナショナル製のELT「RESCU 406 AFN」に損傷がみられたとの報告書を18日に公表した。このELTには二酸化マンガン・リチウム電池が採用されている。
これを受けて、国内で787を運航する全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL、9201)は、固定型ELTの自主点検や取り外しをすでに実施済み。26日現在、両社とも運航に支障は出ていないという。
ANAは保有する20機のうち、国内線用8機は固定型ELTを取り外し、別途装備している携行型ELTのみで運航している。国際線用12機は国際民間航空機関(ICAO)や就航国の規定により取り外せないため、点検で対応している。
9機全機を国際線で運航するJALも点検を終えているが、ボーイングが点検後の配線の収納について推奨方法を連絡してきたため、26日までに5機が実施済み。28日までに完了する。JALは7月に入り、10機目の787を受領したが、引き渡し前にボーイングが点検を実施済みだという。
JCABでは、火災原因となったとみられるハネウェル製の固定式ELTを搭載した787以外の機種についても、航空会社などに対して自主点検を検討するよう指示している。
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