日本航空(JAL/JL、9201)系LCCのスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)は11月6日、社名変更後最初の国内線運航日となった同日に拠点の成田空港で米澤章社長らが出発便を見送った。ブランドと社名を揃え、認知度向上につなげていく。
—記事の概要—
・カタカナで日本らしさ
・増機計画は堅持
カタカナで日本らしさ
スプリング・ジャパンは、中国最大のLCCである春秋航空(CQH/9C)の子会社として発足し、2014年8月1日に就航。JALはこれまで約5%の出資にとどめていたが、議決権ベースで66.7%に高めて過半数を取得して今年6月29日に連結子会社化し、春秋航空の出資比率は33.3%となっている。JALグループで中国に特化したLCCとして、現在は直行便が就航していない中国の人口4000万人から10万人規模の都市への就航を検討していく。
2019年4月から新ブランド「SPRING」を取り入れたが、空港での案内などは従来からのブランド「スプリング・ジャパン」、社名は「春秋航空日本」を使用してわかりにくかったことから、11月1日に社名を「スプリング・ジャパン(SPRING JAPAN)」に改めた。
米澤社長は「社名とブランドを一致させ、日本らしいカタカナにした」と、中国など海外でも日本らしさを打ち出しやすく、日本人にもわかりやすいカタカナ表記にしたという。
機材はボーイング737-800型機(1クラス189席)を6機運航。機体塗装も一新し、新ロゴの「SPRING JAPAN」をデザインした。5号機(737-800、登録記号JA05GR)が最初の新デザイン機で、旧ロゴの上にデカールを貼り、初便は10月2日の成田発広島行きIJ621便となった。
社名変更後最初の国内線運航日となった6日も、IJ621便に新デザインの5号機を投入。搭乗率約8割の乗客155人(幼児2人含む)を乗せ、午前9時31分に成田空港の175番スポットを出発した。
増機計画は堅持
現在は機体デザインが3種類存在。2号機(JA02GR)から4号機(JA04GR)までは「SPRING AIRLINES JAPAN」と「春秋航空日本」が併記されている就航当初からのデザインで、初号機(JA01GR)と6号機(JA06GR)は一つ前のロゴ「SPRING」を大きくデザインとなっている。同社によると、デザイン統一の完了時期は未定で、重整備などと合わせて新デザインに変更していく。
今後の見通しについて米澤社長は「コロナ前の2019年は搭乗率が88%だったので、なんとしても戻したい」と述べ、早期の国内線回復を目指す。
現在の路線網は6路線で、国内線が札幌・新千歳(毎週土日運航)、広島(毎週土日運航)、佐賀(毎週日曜運航)の3路線、国際線はハルビン(毎週日曜運航)と天津(2週間ごとに月曜運航)、南京(運休中)の3路線となっている。
また今後3年間で3機増機して9機体制を構築する計画については、「増機(する方針)は変わっていないが、中国の回復が思ったより遅い」(米澤社長)として、7号機の導入は当初計画の2022年度からずれ込む可能性もあるという。
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