全日本空輸(ANA/NH)はグループLCCのピーチ・アビエーション(APJ/MM)は冬ダイヤ初日の10月31日、ANAからの一部路線の移管を開始した。夏ダイヤ最終日となった前日30日までANAが運航していた福岡-石垣線を、冬ダイヤ初日の31日からはピーチ運航に切り替えた。このほか、ピーチは中部-札幌(新千歳)線など減便となったANAの3路線を、既存路線を増便してANA便を補う。
—記事の概要—
・森CEO「福岡-石垣は育つ路線」
・ピーチ増便でANA減便補完
森CEO「福岡-石垣は育つ路線」
ピーチの福岡-石垣線は、ANAと同じく1日1往復運航する。移管後の運航スケジュールは、石垣行きMM295便が福岡を午後0時25分に出発し、午後2時40分着。福岡行きMM296便は午後3時20分に石垣を出発し、午後5時15分に到着する。
初便となった石垣行きMM295便(エアバスA320型機、登録記号JA823P)は、福岡を午後0時26分に出発し、ほぼ満席の176人(うち幼児4人)が利用した。乗客は家族連れの観光客などが多くみられた。同便が出発した福岡空港の5番搭乗口では、ピーチの森健明CEO(最高経営責任者)と客室乗務員が乗客との記念撮影に応じたほか、乗客に記念品を配布。同路線はピーチの観光路線として再スタートした。
ANAの福岡-石垣線は約1万2000便を運航し、およそ95万5000人が利用した。平均すると1便あたり80人程度が利用したことになる。ピーチは180席のA320で運航し、1便あたり144人以上が利用する80%以上の搭乗率を目指す。森CEOは「福岡-石垣線は通常期でも100人くらいの予約が入っている。このあとはどんどん上がっていき、80-90%くらいの搭乗率に育つ路線」と期待を込めた。
ピーチへの路線移管について、ANAの平子裕志社長は新型コロナ前の単独インタビューで、「フルサービス航空会社(FSC)の市場をLCCで代替する、という考え方はない」と述べ、当時は否定的な見解を示していた(関連記事)。森CEOも2020年10月の単独インタビューで「われわれがANAの路線を引き継いで運航する、という発想はまったくない」と述べていた(関連記事)。
森CEOによると、両社間での路線移管は今年度から検討を始めたという。路線移管は路線の維持が目的でネガティブな印象があると前置きした上で、「空港会社と地域にとっては、旅客が増えることが大切。福岡-石垣線のように、同じ1往復でも旅客数が圧倒的に増やせる」とし、移管路線を活用した交流人口の拡大に意欲をみせた。
ピーチ増便でANA減便補う
また、中部-札幌(新千歳)と中部-那覇、福岡-那覇の3路線は、ANA便が減便となる31日からピーチの既存便を増便し、ANAの減便分を補う。ANAは移管路線にいずれもボーイング737-800型機(2クラス166席)を投入していたが、移管後はピーチのA320(1クラス180席)で運航するため、提供座席数にも大きな変更はない。
10月30日に終了した夏ダイヤでは1日2往復だった中部-札幌線は、冬ダイヤ期初から3往復に増便。増便となるのは往復ともに2便目で、札幌行きのMM463便は中部を午後1時25分に、中部行きのMM464便は札幌を午後2時35分に、それぞれ出発する。
中部-那覇線はこれまでの1日1往復から、2往復に増便。期初からは最終便を増便する。さらに12月24日から2022年1月10日までは1便目も増便し、期間中は1日3往復運航する。
夏ダイヤでは1日3往復だった福岡-那覇線は、5往復に増便。増便となるのは往復ともに1便目と5便目で、福岡発那覇行き1便目のMM281便は午前7時5分に、5便目のMM291便は午後5時55分に出発する。那覇発福岡行き1便目のMM282便は午前9時40分発、5便目のMM292便は午後7時35分発となる。
中部-仙台線は1日1往復から2往復に増便。中部発は2便目、仙台発は1便目を増便する。増便分の運航スケジュールは、仙台行きMM493便が中部を午後6時30分に出発し、午後7時40分着。中部行きMM492便は午前8時に仙台を出発し、午前9時20分に到着する。ANAも同路線を運航しているが、冬ダイヤでは減便せず1日2往復を継続する。
運航スケジュール
MM295 福岡(12:25)→石垣(14:40)
MM296 石垣(15:20)→福岡(17:15)
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