エアライン — 2021年10月24日 17:49 JST

JALと東響、チャーター機でバイオリン演奏 シートベルト着用、弓使いも工夫

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 日本航空(JAL/JL、9201)と東京交響楽団、ジャルパックの3者は10月23日、機内でクラシックの生演奏を楽しめる成田空港発着の音楽チャーターフライトを実施した。地上と上空で音色の違いを楽しんでもらう。東響のアシスタント・コンサートマスター廣岡克隆さんとバイオリン奏者の土屋杏子さんが二重奏を披露し、JALの客室乗務員もバイオリンを機内で演奏した。

成田空港でJAL音楽チャーターJL4981便に搭乗前に廣岡さんと土屋さんとともに記念撮影する参加者=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 出発前に成田空港でバイオリンによるプレコンサートを開催。廣岡さんと土屋さんがR.グリエール「二重奏曲よりNo.5」、O.レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲より第3曲シチリアーノ、イギリス民謡の「ダニーボーイ」と「ジグ」を披露した。

 機内では廣岡さんと土屋さんがE.エルガー「愛の挨拶」、W.A.モーツァルト「鏡のカノンより」、I.アルベニス「組曲エスパーニャ」より第2曲タンゴ、F.メンデルスゾーン「歌の翼に」を演奏した。また、JALの客室乗務員で幼少からバイオリン演奏を続けている濱田佳奈子さんと吉田裕佳さんが、V.ヤング「八十日間世界一周」とW.A.モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525」より第1楽章を演奏した。濱田さんと吉田さんの2人は、運航に携わる客室乗務員とは別に演奏要員として搭乗した。

成田空港で音楽チャーターフライトの出発前に報道関係者の撮影用に演奏を披露する東京交響楽団アシスタント・コンサートマスターの廣岡さん(左)とバイオリン奏者の土屋さん=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で音楽チャーターフライトの出発前に撮影に応じるJAL客室乗務員の濱田さん(左)と吉田さん=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 チャーターの機材はボーイング767-300ER型機の国際線仕様機(登録記号JA618J、2クラス199席)を使用。乗客127人と関係者20人を乗せて成田を午後3時7分に出発後は函館、札幌、旭川、新千歳、仙台上空を飛行し、機内では国際線ファーストクラスで提供しているオリジナルショコラが配られた。

成田空港で音楽チャーターフライトの出発前に取材に応じる東京交響楽団専務理事の大野順二楽団長(左)と発案者のJAL総合政策センター調査研究部付 兼 W-PITの伊藤翔次郎さん=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 出発前に報道関係者の取材に応じた廣岡さんは、「初めてのことなので不安な点もありますが、何回もミーティングして安全第一な中で落とし所を探しました」という。また、揺れに備えてシートベルトを締めて演奏することになり、頭上には手荷物収納棚があることからバイオリンの弓を大きく動かしにくいため、ボーイング(運弓法)も工夫することになったそうだ。

 濱田さんとともに客室乗務員としてバイオリンを演奏することになった吉田さんは、客室乗務員有志によるミュージックベル演奏チーム「JALベルスター」のメンバーとして2018年に活動した経歴を持つ。バイオリン歴は幼少期から20年以上という吉田さんは「チャーターが抽選になったとのことで、感謝の気持ちでいっぱいです。(着席して演奏するため)シートピッチの関係で体の位置をずらしたり、(楽譜の強弱記号で弱音を示す)ピアノでも大きめに弾くようにします」と話していた。

 今回の企画は、JALの社内ベンチャーチーム「W-PIT(Wakuwaku Platform Innovation Team)」に所属する社員の伊藤翔次郎さんが発案した。W-PITは2017年設立で、JALグループの社員約140人が参加している。伊藤さんは、「コロナでもオンラインコンサートをやっている東響であれば、新しいことができるのではないかと考えました」と企画を持ちかけた経緯を述べ、ベルトサインが点灯した場合などの対応を各部署と協議して実現させたという。

 東響は新型コロナの感染拡大後、いち早く無観客で演奏を配信した。専務理事の大野順二楽団長は「新しいことに取り組む姿勢を評価し、パートナーに選んでいただけて光栄」と話していた。

JALの音楽チャーターの機内で演奏する東響の廣岡さん(JAL提供)

JALの音楽チャーターの機内で演奏する東響の土屋さん(JAL提供)

音楽チャーターの機内で演奏するJALの濱田さん(同社提供)

音楽チャーターの機内で演奏するJALの吉田さん(同社提供)

成田空港で音楽チャーターフライトの出発前に撮影に応じる東京交響楽団アシスタント・コンサートマスターの廣岡さん(中央左)とバイオリン奏者の土屋さん(同右)、JAL客室乗務員の濱田さん(左)と吉田さん=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港でチェックインするJALの音楽チャーターフライトの参加者=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港の制限エリア内に用意されたJALの音楽チャーターフライトの参加者向けメッセージカード=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港の制限エリア内に展示されたJALの整備士が廃材を利用して制作したオーケストラのオブジェ=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で音楽チャーターフライトの出発前にダンスを披露するJALグランドサービスの社員=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港でJALの音楽チャーターフライトに搭乗する参加者=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で出発を待つJALの音楽チャーターJL4981便の前で記念撮影する参加者=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で出発を待つJALの音楽チャーターJL4981便の前で記念撮影する参加者=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

バイオリンケースを背負ったJAL客室乗務員の吉田さん(左)と濱田さん=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港を出発するJALの音楽チャーターJL4981便=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港を出発するJALの音楽チャーターJL4981便を見送るスタッフ=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港を出発するJALの音楽チャーターJL4981便を見送るスタッフ=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港を出発するJALの音楽チャーターJL4981便を見送るスタッフ=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港でチェックイン時にJALの音楽チャーターフライトの参加者に手渡された記念品=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で到着時にJALの音楽チャーターフライトの参加者に手渡された記念品。ヒューガルデンのビールは大人のみでビールグラスはビジネスクラスのみ=21年10月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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