全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)は10月8日、従来バイオ燃料などと呼ばれていた代替燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)」の理解を広げるため共同レポート「2050年航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて」を策定したと発表した。
共同レポートでは、SAFは従来の航空燃料よりもCO2(二酸化炭素)排出量を約80%削減でき、2050年の航空輸送でのCO2排出量実質ゼロの目標達成に不可欠なものであることを紹介。一方で、世界のSAF生産量は需要の0.03%未満にとどまり、価格も従来の化石燃料を大幅に上回る状態が続いており、量産と普及が急務であるとした。2030年には、最低でも使用燃料の10%をSAFに移行する必要があるという。
日本の航空会社と日本へ就航する海外の航空会社が国内の空港で給油するために必要なSAFの量は、2050年にCO2排出量実質ゼロを達成するためには、最大2300万キロリットルだという。ANAによると、コロナ前の2019年1年間に国内で日系航空会社と海外の航空会社が消費した既存の航空燃料は1200万キロリットルだったといい、約2倍にあたる量になる。
航空需要の拡大が今後見込まれるアジア圏のSAF市場は、2050年に約22兆円に成長するとみられるという。
両社は今回の共同調査の過程で、世界経済フォーラムのクリーン・スカイズ・フォー・トゥモロー・コアリション(Clean Skies for Tomorrow Coalition)に参画。世界の航空業界で使用される燃料に占めるSAFの割合を、2030年までに10%へ増加させることを視野に「2030 Ambition Statement」宣言に共同で署名した。
また、両社は国産SAFの技術開発に向け、使用者側のの意見などをこれまでも提供している。
関連リンク
共同レポート(ANA)
共同レポート(JAL)
全日本空輸
日本航空
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