全日本空輸(ANA/NH)は9月27日、低糖質や低脂肪、低カロリーなど特別機内食4種類を10月1日にリニューアルすると発表した。フレンチシェフの髙山英紀氏や専門家の知見を取り入れた。
ANAは食事制限がある人向けや子供向け、宗教食など24種類ある「特別機内食(スペシャルミール)」のうち、低糖質(DBML)と低脂肪(LFML)、低カロリー(LCML))、低塩(LSML)の食事はこれまで4種類別々に用意していたが、今回のリニューアルでは低糖質と低脂肪、低カロリーに対応した共通メニューと、低塩メニューの2種類に再編。新メニューは2種類ともランディス台北 Paris 1930 de Hideki Takayamaの髙山シェフとのコラボレーションメニューで、ANAグループで機内食を手掛けるANAケータリングサービス(ANAC)が機内食に仕上げ、低糖質メニューは日本糖尿病協会が監修した。ANAが特別機内食で有名店とのコラボメニューを導入するのは初めて。
髙山シェフは、「塩や油を使わないが、噛(か)んでうま味を出すようにし、色合いも意識した」と食材が一般の機内食よりも制限される中でこだわった点を挙げた。ANACの清水誠総料理長は、「機内食では多くのメニューが75度で火入れを1分以上しなければならない規定がある」と述べ、制約がある中で髙山シェフが提案したメニューを機内食用にアレンジしていったという。
低糖質・低脂肪・低カロリー共通メニューは「チキンのパプールとマッシュルームのピューレ 彩野菜とキヌアのサラダ仕立て」、低塩メニューは「チキンのロースト蜂蜜ビネガーとオニオンコンフィー雑穀物を添えて」をそれぞれメインに据えた。また、デザートとして紅茶のゼリーを共通で添える。
今回のメニューは、ファーストクラスからエコノミーまで全クラス共通。食器や提供方法は各クラスに準じたものになる。従来のメニューは3カ月ごとに見直していたが1年周期に改め、切替期に生じる食材のロスも削減する。ANAによると、特別機内食を頼む人はコロナ前で全体の7%、昨年は5.3%だったという。
開発期間は通常の機内食と同じ約1年。ANA商品企画部の眞野知彦部長は「今までは出張需要が中心だったが、今後は高齢者や女性など幅広い客層に選んで頂けるよう機内食も見直した」と、コロナ後の国際線の需要回復に向け、食事制限がある人だけでなく、健康に気を配っている人などにも特別機内食を利用して欲しいという。
また、ANACはイスラム教徒(ムスリム)向けの機内食を充実させるため、ハラール認証を取得しているキッチンを拡張。従来はハラール対応メニューのうち、一部を外注していたが自社で調理できるようにした。イスラム教とヒンズー教に対応したメニューを6月に刷新し、イスラム教徒に人気のあるカレーを提供している。
ANAの特別機内食は、日本発の国際線全路線で提供。出発予定時刻の24時間前までにANAのウェブサイトか電話での予約が必要になる。
関連リンク
特別機内食(スペシャルミール)
全日本空輸
ANAケータリングサービス
Paris 1930 de Hideki Takayama
日本糖尿病協会
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