ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日空商事は9月17日、ヤフーが運営するオークションサイト「ヤフオク!」に出品するファーストクラスのモックアップ(模型)シートや実機で使用していたウインドウフレームを報道関係者に公開した。21日にオープンする機体部品やグッズなどをそろえるヤフオク内の販売サイト「SorANAka(ソラナカ)ヤフオク!店」で扱う。
全日空商事がヤフオクに初出品するのは、全日本空輸(ANA/NH)が国際線で運航しているボーイング777-300ER型機のファーストクラスにちなんだもので、シートのモックアップはお披露目イベントなどに使用してきたもの。シートの機能は実機とほぼ同じ仕様になっている。
ウインドウフレームは、2019年に就航した777-300ERの新仕様機のうち、ファーストとビジネスの両クラスに設置している電動シェードを備えたもので、実機から取り下ろしたものを出品する。いずれも一点ものとなる。
今回出品するシートは2011年に登場した「ANA FIRST SQUARE(ANAファースト・スクウェア)」で、2019年に登場した最新ファーストクラス「THE Suite(ザ・スイート)」の一つ前の世代にあたり、まだ改修前で搭載している777-300ERもある。シートメーカーはゾディアック・シート・フランス(現サフラン)で、周囲のシェルはジャムコ(7408)が担当した。素材はアルミニウムと合金鋼、プラスチック、重さは台座を含めて約400キロ、大きさは約115センチ×242センチ×131センチとなる。
23インチの大型液晶ワイドスクリーンを備え、フルフラットシートの長さは77インチ(約195.6cm)で、幅は32.9インチ(約83.6cm)と、近年フルフラットシートが増えたビジネスクラスと比べてもゆったりしている。
角度を変えられるLEDの読書灯が2つ、ピアノのように鏡面仕上げの大型ダイニングテーブル、可動式のカクテルテーブルなどを備える。
モックアップのリクライニング機能やウインドウフレームのシェードなど、これまで稼働していた電動部分は使用できない状態での販売になる。一方、シートのテーブルや小物入れ、ジャケットやシューズの収納スペースなど、手動で動かせる部分は稼働する。モックアップは、在宅勤務で仕事をするスペースにも使えそうだ。
入札開始額は777-300ERにちなみ、モックアップが7730円、ウインドウフレームは773円。入札は21日午前10時から受け付け、終了は26日午後9時から10時ごろを予定している。
第2弾は10月をめどに出品し、国際線ビジネスクラスのモックアップシートのほか、747-400(登録記号JA8094)のモデルプレーンや、JA8094の機体識別板(銘板)を用意する。
SorANAkaは4月に、全国各地の食の特産品を扱う新たな通販サイトとして楽天市場内にオープン。北海道の味噌ラーメンセットや博多の居酒屋セットなど、お取り寄せグルメを販売している。ヤフオク!店はSorANAkaの2号店となる。
全日空商事は1カ月に1回程度、2-3点ずつ出品していきたいとしている。届け先が東京23区内の送料は、モックアップが平日は最大30万円程度で休日は約10万円増し、ウインドウフレームは3000円程度になるという。
ヤフオクの担当者によると、全日空商事側から出店の打診があったといい、これまでANAがチャリティーで出品することはあったものの、航空会社系企業がヤフオク内にストアを構えるのは始めてだという。ファーストクラスのモックアップのように希少性が高いものは、ヤフオクのユーザー層にも合うのではと話していた。
*モックアップは380万円で落札。記事はこちら。
380万円で落札
・ANAのヤフオク初出品、ファーストクラス席は380万円で落札(21年9月26日)
モックアップと同じファーストクラス
・個室感と開放感を両立したビジネスクラス 写真特集・ANA新仕様777-300ERができるまで(機内編)(15年3月24日)
写真特集・ANA新777-300ER
(1)43インチ4Kモニターと引き戸付き個室ファーストクラス(19年7月13日)
(2)ドア付き個室ビジネスクラス(19年7月15日)
(3)世界最大の個人モニター備える1列10席エコノミー(19年7月17日)
(4)木目調パネルで落ち着いた空間(19年7月19日)