エアライン, 官公庁, 空港, 解説・コラム — 2021年8月16日 14:05 JST

入国者数の上限緩和、航空会社にどう影響?

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 政府が入国者数の上限を8月16日から緩和し、これまでの1日当たり2000人が3500人に拡大した。上限引き上げにより、国土交通省航空局(JCAB)も航空各社の国際線の搭乗者数制限を緩和したが、国内の航空会社にはどのような影響があるのだろうか。

—記事の概要—
「帰国者の予約が取りやすくなるくらい」
乗り継ぎ多い国際線

「帰国者の予約が取りやすくなるくらい」

国内2社への入国者数上限緩和影響は?=21年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国交省は、国際線を運航している全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)、海外の航空会社に搭乗者数の制限緩和を通知。ANAとJALは、国際線の1週間当たりの搭乗者数を1社3400人に抑えてきたが、16日からは6100人ずつに緩和された。海外の航空会社は、これまで1便あたり40人だったが、16日から31日までは同70人に緩和された。

 ANAとJALの国内2社の場合、1週間で1社当たり6100人なので、1日にすると約870人ずつ。これまでよりも1日に1社当たり380人程度多く入国できることになるが、成田と羽田を合わて1日20便が到着する場合、1便当たり約40人なので、1便で増えるのは16人程度になる。

 海外の渡航制限は国ごとに異なり、日本へ帰国・入国時に自主隔離を求められるため、日本人が旅行などの目的で積極的に海外へ出ることは難しい。今回の入国者数の上限緩和は、「海外に赴任している駐在員が帰国する際、これまで取りにくかった予約が取りやすくなるくらい」(関係者)にとどまりそうだ。

乗り継ぎ多い国際線

 2社の4-6月期国際線旅客実績を見ると、ANAのロードファクター(座席利用率)は前年同期比6.4ポイント低下し19.8%、旅客数は43.4%増の13万1361人だった。JALはロードファクターが2.0ポイント上昇し19.5%、旅客数が4.4倍の14万9492人となった。コロナ前の2019年4-6月期のロードファクターは、ANAが75.4%、JALが80.2%だったので、現状はコロナ前の4分の1程度の利用率にとどまっている。

 両社も加盟しているIATA(国際航空運送協会)の予測でも、国際線の需要がコロナ前の水準に回復するのは2024年ごろとしており、3年ほど時間がかかる。

 このため、今回の上限緩和は国内2社の大幅な業績改善につながるとは考えにくく、在外邦人の帰国ニーズに応えるレベルにとどまりそうだ。また、国際線が到着する成田空港周辺では、病床のひっ迫でコロナ患者の受け入れが難しくなっており、「入国者数の上限は緩和されたが、しばらくは余る可能性もあるのではないか」(前出の関係者)という。

 また、成田空港の6月実績を見ると国際線旅客13万7149人のうち、通過客が6万2812人でもっとも多く、外国人の4万3235人、日本人の3万1102人と続いた。国内2社の国際線計画は当面、在外邦人の帰国や駐在員の赴任に加え、往来が徐々に活発になっているアジアと北米を結ぶ国際線の乗り継ぎ需要を見据えたものになりそうだ。

関連リンク
国土交通省

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