機体 — 2021年8月8日 08:58 JST

[書籍]中村洋明『新・航空機産業のすべて』

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 大阪府立大学客員教授、技術経営研究家・中村洋明氏の著書『新・航空機産業のすべて』(日本経済新聞出版)が7月27日発売。4180円(税込)。

 「航空機ビジネスに精通するプロが解説した、唯一無二の決定版テキスト! コロナ禍で業界・企業はどうなる? 「環境適合」「空の移動革命」「超音速」の未来像を俯瞰する。

 現在コロナ禍でエアラインは大打撃を受けており、サプライヤーである航空機産業も大変厳しい状況だ。逆に「今後どうなるか」に対する関心も高まっており、本書はこの疑問に正面から答える。コロナ禍による影響と産業の変容について、短期的視点と長期的視点の両方から述べる。

 航空機産業の苦境が今後3-4年続くとしても、民間・軍事両面から、航空機産業の戦略的な重要性は変わらない。世界人口の増加、新興国の発展で航空機需要は強含みであり、ビジネスでリモートが盛んになり出張需要が低減しても、観光需要は今後も拡大を続けよう。

 日本にとって、産業に与えるシナジー効果が自動車産業以上に大きく、安全保障からも喫緊の課題となっている重要な産業セクターであり、関係者向けのテキスト需要に応える」

序章 これからの航空機産業を展望する
1 新型コロナウイルスの影響は?
2 三菱スペースジェットMSJの凍結をどう受け止めるべきか
3 進展する電動化
4 「空飛ぶクルマ」の社会実装に向けて:巨大市場の誕生か?
5 民間超音速機(ビジネスジェット、旅客機)復活の動き
6 実用化が近づく宇宙旅行用「スペースプレーン」
【コラムA】目覚ましい発達を続けてきたドローンとは

第1章 なぜ「航空機産業」なのか?──特質と重要性
1 日常生活に不可欠な交通手段を提供する
2 最も広がりのある産業である
3 多くの分野のイノベーションを先導する産業である
4 わが国に最適な産業である
5 世界でも数少ない安定成長産業である(コロナ禍でしばらく足踏みするが)
6「国際共同」が当たり前の産業である
7 安全保障上必須の産業である
【コラムB】航空宇宙分野で学ぶ人たちの将来進路決定の参考に

第2章 いま日本の航空機産業はどうなっているのか
1 今、日本の航空業界(エアラインなど)はどうなっているのか
2 日本の航空機工業の現状とは
3 戦前・戦後の歩みを振り返る
4 主要な海外プログラムへの参画状況(エンジン、装備品を含む取り組み)
5 最近の開発プログラム
6 動き出した次期戦闘機の開発

第3章 航空機分野と民生分野はシナジー効果が絶大
1 高度なニーズがイノベーションと相互波及効果をもたらす
2 風力発電やガスタービンに代表される航空機の製品技術
3 耐熱合金、チタン合金などの高級材料の採用
4 民生用途に使われる航空機の手法(風洞試験、CFD、CAD・CAMなど)
5 航空機技術の粋を結集したリニアモーターカー
6 高速艇「ジェットフォイルはボーイングが開発した
7 民生用の液晶、LED、AV機器などの航空機への展開
8 日本が得意とする製品技術が続々と採用(MEMS、RFID、次世代電池など)
9 IFEC(機内エンターテインメント・インターネットシステム)には民生技術が結集している
10 CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は両分野を往来しながら進化

第4章 航空機と構成品の開発プロセスを知る
1 主要材料の現状と変遷:日本が得意とするCFRPが主役に
2 航空機用部品の主要な生産プロセス: 3Dプリントも存在感を発揮してきている
3 生産・整備用機材:航空機工業界で大活躍する日本の工作機械
4 航空機は部品点数が数百万点の巨大システムだ
5 機体の企画から運航まで
6 エンジンの設計から出荷まで
7 装備品の受注から出荷まで:設計は受注前から始まっている
8 設計、試作、試験などはどのように行うのか:型式証明取得まで

第5章 航空機産業界の構造と動向を見る
1 航空機産業界を構成するプレイヤー
2 プレイヤー間の関係とサプライチェーン
3 エアライン:生き残りを図る大手と台頭するLCC
4 民間輸送機(大型輸送機、リージョナル機):拡大する細胴機市場
5 ビジネスジェット:日本は活用面で後れをとっている!
6 ヘリコプター:用途拡大と安全性向上、高速化が進行中
7 推進機関(エンジンとプロペラ):進化を続ける航空機の心臓、バイオ燃料も登場
8 装備品(システム、機器):大きなコスト比率、完成機の評価を左右
9 MRO(Maintenance, Repair & Overhaul):成長するアフターマーケット
10 航空機工業界に共通する動向
【コラムC】航空機産業参入を考えている人たちの参考に──論点整理

【著者略歴】
中村洋明(なかむら・ひろあき)
博士(工学) 大阪府立大学客員教授 技術経営研究家
元英国法人SSSL(Silicon Sensing Systems Ltd.)取締役会長 元住友精密工業専務取締役
1967年、大阪府立大学大学院工学研究科航空工学専攻修了。住友精密工業入社。航空機用装備品の設計・開発業務に主として従事。世界の航空宇宙防衛大手BAEシステムズ社と折半出資の合弁会社SSSLを責任者として立ち上げ、自動車市場を対象に事業展開。拓殖大学、立命館大学、大阪府立大学の客員教授などを歴任。航空機産業参入を目指す企業などの指導・支援で活躍中。

関連リンク
新・航空機産業のすべて 「空飛ぶクルマ」から次期ステルス戦闘機まで(日本経済新聞出版)

雑誌
「国際空港のいま / 国内線夏物語」航空旅行 vol.38
「ボーイング737大特集」月刊エアライン 21年9月号
「航空業界就活入門Q&A」月刊エアステージ 21年9/10月合併号
「航空救難団空中給油訓練」航空ファン 21年9月号
「F-22を振り返る」航空情報 21年9月号

書籍
『4発JETエンジン機 COMPLETE GUIDE』
鳥海高太朗『コロナ後のエアライン』
「世界航空機年鑑 2020〜2021年」
真山仁『ロッキード』
イカロスMOOK『ヒコーキ写真テクニック 2020 Spring Summer』
イカロスMOOK『CA&グランドスタッフ筆記試験問題集』
Pen+『完全保存版 エアライン最新案内。』
大宅邦子『選んだ道が一番いい道』

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