エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2021年8月5日 21:41 JST

JAL、海外派遣会社や在外邦人のパイロット採用 2030年問題や新機種移行対応

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 日本航空(JAL/JL、9201)は8月5日、外国籍のパイロットを海外の派遣会社から採用すると発表した。別枠で在外邦人や在日外国人パイロットの採用枠も用意する。2030年代に定年を迎えるパイロットの大量退職や、2030年までに想定しているボーイング767型機などから後継の新機種への移行訓練時の対応も視野に、9月までに募集を始める。JALが海外の派遣会社とパイロットの派遣契約を結ぶのは、2008年4月以来13年ぶりとなる。

2030年問題や新機種移行訓練の対応で海外派遣会社からパイロットを採用するJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

2030年までに新機種への移行が想定されるJALの767=21年8月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 海外のパイロット派遣会社経由で採用するのは約50人。海外在住の外国籍パイロットを想定しており、「2030年問題」と言われるパイロットの大量退職や、767の後継機決定後に現在乗務しているパイロットが新機種への移行訓練を受ける際、767の運航を維持するために採用する。9月までに募集を始め、JALでの訓練開始は2022年7月ごろを予定している。

 また、海外に住む日本人パイロットや、国内在住で日本語による訓練に対応できる外国人パイロットも若干名を別途採用する。当初は契約社員として採用するが、正社員への切り替えも念頭に採用活動を進める。

 海外派遣会社経由と契約社員のいずれも、国内で有効なライセンス保持者を優先しつつ、ICAO(国際民間航空機関)締結国のライセンス保有者も採用予定。入社後は国土交通省航空局(JCAB)のライセンスを取得後に乗務する。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大前は世界的にパイロットが不足していたが、現在は海外の航空会社でパイロットが解雇される事態に陥っている。JALはこれまで海外で乗務していた日本人パイロットや、日本を拠点にフライトしている外国人パイロットを獲得することで、2030年問題に対処する。

 JALは2010年1月に経営破綻する前、ハワイなどのリゾート路線や東南アジア路線の一部を子会社のJALウェイズ(現JAL、旧JAZ/JO)が運航しており、海外の派遣会社とパイロットの派遣契約を結んでいた。経営再建の一環で、JALウェイズは同年12月1日にJALと統合したため、2008年4月にパイロット派遣会社と結んだ契約がこれまでで最後のものとなった。

関連リンク
日本航空

パイロット訓練の今
「”評価”という言葉はなるべく使わない」特集・JALパイロット訓練、自家製データベース活用(21年8月2日)

インターン募集
JAL、パイロットのインターン募集 オンラインで(21年8月2日)

特集・JALパイロット自社養成再開から5年(全5回)
(1)ナパ閉鎖を経てフェニックスで訓練再開
(2)旅客機の感覚学ぶジェット機訓練
(3)「訓練は人のせいにできない」
(4)グアムで737実機訓練
(5)「訓練生がやりづらい状況ではやらせたくない」

JALのパイロット訓練
「訓練再開早いのでは、と意見あった」特集・JAL進俊則氏に聞く破綻後のパイロット自社養成
運航データを反映する新制度 特集・JALパイロット訓練の今 第2回EBT編
FileMakerで評価基準を明確化 特集・JALパイロット訓練の今 第1回CB-CT編
JAL、パイロットの新訓練審査制度「EBT」導入へ 17年度内に
JAL、新訓練方式の副操縦士誕生 27日から乗務開始
JAL、パイロット訓練にチームワーク重視の新方式 14年4月から
パイロットも“千本ノック”から“データ戦”へ JALが国内初の訓練体系化

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post
キーワード: