三菱重工業(7011)が8月2日に発表した2021年4-6月期(22年3月期第1四半期)連結決算(IFRS)のうち、子会社の三菱航空機による「三菱スペースジェット(旧MRJ)」事業を含む航空・防衛・宇宙セグメントのもうけを示す「事業損益」は、35億円の黒字(前年同期は620億円の赤字)だった。スペースジェット関連費用の大幅な削減により黒字となった。
三菱重工は2020年10月にスペースジェットの開発凍結を表明しており、6度延期されている納期については2日も言及はなかった。
前年同期のスペースジェット関連費用は、カナダのボンバルディアからリージョナルジェット機「CRJ」の事業を買収に伴い生じたのれん減損を含め688億円だった。2日にオンラインで会見を開いた小澤壽人CFO(最高財務責任者)は、今年度のスペースジェットの関連費用について、1年間で50-60億円だとした上で「今回は4分の1程度を計上した」と説明。具体的な金額を明示していないが、今期のスペースジェット関連費用は20億円程度だったとみられる。
2日に発表した2021年4-6月期(22年3月期第1四半期)の純損益は、126億5100万円の黒字(前年同期は579億200万円の赤字)だった。売上高にあたる「売上収益」は9.5%増の8517億1500万円、本業のもうけを示す「事業損益」は214億6700万円の黒字(同713億8800万円の赤字)だった。
セグメント別では、航空・防衛・宇宙の受注高は618億円(前年同期比147億円減)、売上収益は1308億円(243億円減)、事業損益は35億円の黒字(620億円の赤字)だった。
今期の業績予想は、前回5月10日の発表から据え置いた。売上収益は2021年3月期比1.4%増の3兆7500億円、事業利益が2.8倍の1500億円、純利益は2.2倍の900億円を見込む。セグメント別では、航空・防衛・宇宙の受注高は6000億円(20年3月期比262億円減)、売上収益は6000億円(1021億円減)、事業損益は200億円の黒字(948億円の赤字)と黒字化を見込む。
スペースジェット関連
・三菱航空機、99%減資(21年4月30日)
・三菱航空機、水谷会長退任 新役員人事(21年2月20日)
・スペースジェット、開発凍結後初の失注 米エアロリース最大20機(21年1月8日)
・ANA片野坂HD社長「影響は軽微」 三菱スペースジェット、納期「説明いただいていない」(20年10月31日)
・三菱スペースジェット、開発凍結 泉澤社長「一旦立ち止まる」、納期見えず(20年10月30日)
・三菱航空機、海外拠点縮小も「スペースジェット」変えず 7月新体制、川口氏がチーフエンジニア昇格(20年6月16日)
・三菱重工、スペースジェット大幅見直し 人員削減や量産停止、海外拠点再考も(20年5月23日)
・三菱航空機、スペースジェット型式証明取得に全力 丹羽新社長があいさつ(20年4月10日)
・“ツチノコジェット”は幻に終わるのか 特集・延期6度目の三菱スペースジェット(20年2月10日)
・三菱航空機、新社長に丹羽米国三菱重工社長 水谷社長は会長に、20年4月1日付(20年2月7日)
決算
・三菱航空機、2期連続最終赤字 債務超過5559億円(21年7月2日)
・三菱重工、スペースジェット損失1162億円 21年3月期決算(21年5月10日)
・三菱重工、4-12月期純利益33億円 航空防衛宇宙は771億円損失(21年2月6日)
・三菱重工、4-9月期最終赤字570億円 スペースジェット開発凍結(20年10月31日)
・三菱重工、事業損失295億円 20年3月期、20年ぶり赤字転落(20年5月12日)
これより先は会員の方のみご覧いただけます。
無料会員は、有料記事を月あたり3記事まで無料でご覧いただけます。
有料会員は、すべての有料記事をご覧いただけます。
会員の方はログインしてご覧ください。
ご登録のない方は、無料会員登録すると続きをお読みいただけます。
無料会員として登録後、有料会員登録も希望する方は、会員用ページよりログイン後、有料会員登録をお願い致します。
* 会員には、無料個人会員および有料個人会員、有料法人会員の3種類ございます。
これらの会員になるには、最初に無料会員としての登録が必要です。
購読料はこちらをご覧ください。
* 有料会員と無料会員、非会員の違いは下記の通りです。
・有料会員:会員限定記事を含む全記事を閲覧可能
・無料会員:会員限定記事は月3本まで閲覧可能
・非会員:会員限定記事以外を閲覧可能
* 法人会員登録は、こちらからお問い合わせください。
* 法人の会員登録は有料のみです。