日本航空(JAL/JL、9201)は7月19日、成田・羽田両空港の国際線で顔認証技術を用いた“顔パス”の搭乗手続き「Face Express(フェイスエクスプレス)」の本格運用を始めた。今年4月から2カ月間実証実験を進めてきたもので、顔情報を登録すると保安検査場や搭乗口などで搭乗券やパスポートを提示する必要がなくなり、接触機会の少ない搭乗手続きを実現できる。
Face Expressは、両空港の国際線チェックインカウンターと保安検査場の入口、搭乗口に、日本電気(NEC、6701)の顔認証システムを導入した機器を設置。係員が搭乗券とパスポートを目視で確認せずに通過できるようにした。
利用者がチェックイン時に顔写真とパスポート情報、搭乗券情報をひも付けると、認証システムに情報が一時的に格納される。保安検査場の入口や搭乗口などで撮影した顔写真を認証システムの情報と照合し、本人確認する。また、乳幼児は顔の変化が早くパスポートと一致しない可能性があるため、対象外となる。
チェックイン以降の手荷物の預け入れや保安検査、搭乗口などで搭乗券とパスポートを提示する必要がなくなり、接触リスクの軽減にもつながることから、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止策としても位置づけている。乗客が手荷物を預ける際は、チェックイン機でタグを印刷し、自分で手荷物にタグを付けて自動手荷物預け機に持ち込む。
顔認証に使う写真を登録できる場所は、成田空港が第2ターミナルにある14台の自動チェックイン機、8台の自動手荷物預け機、7カ所の保安検査場入口ゲートのうちいずれか。羽田は第3ターミナル(旧称国際線ターミナル)のFace Express登録専用機で登録する。
19日は、成田ではシカゴ行きJL8010便(ボーイング777-300ER型機、登録記号JA743J)の乗客のうち7人がFace Expressによる顔パス搭乗手続きを使用した。JALによると、JL8010便の乗客27人(幼児なし)の大半はアジアなどから北米へ向かう乗り継ぎ客で、成田で搭乗手続きをした人は少なかったという。乗客の男性は「簡単でいい」と話していた。
JALによると、顔パス搭乗の導入で所要時間は平均で従来の半分程度になるという。成田と羽田のうち、羽田はスタッフの完熟を進めていることから、当面は台北線のみ利用できる。成田も顔パス搭乗に対応した13カ所の搭乗口のうち、7月いっぱいは3カ所で運用し、8月1日から13カ所に拡大する。
顔認証時に、現在は乗客にマスクをはずしてもらっているが、JALでは将来的にマスクを着用したままでも認証できるようにしたいという。
顔認証技術を使った搭乗手続きは、航空会社などが加盟するIATA(国際航空運送協会)が推進する旅客搭乗手続きの自動化プロジェクト「Fast Travel(ファストトラベル)」のひとつで、「OneID(ワンアイディー)」と呼ばれている。成田空港に顔認証による搭乗設備を導入した空港運営会社の成田国際空港会社(NAA)は、顔パスで搭乗できることが利用者に伝わるよう、OneIDに「Face Express」と愛称を付けてロゴも用意し、成田と羽田の両空港に導入した。
全日本空輸(ANA/NH)も、19日から成田でNAAが導入した設備を使い、顔パス搭乗を始める(関連記事)。
関連リンク
Face Express(成田国際空港)
成田空港
羽田空港
日本航空
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