国土交通省は6月13日に開催した第13回航空安全情報分析委員会(委員長・河内啓二東京大学名誉教授)の審議結果をこのほど発表した。2012年度内に起きた航空事故と重大インシデントは計12件だった。
12年度内に国交省が航空事故と認定したものは4件。このうち100席以上の旅客機によるものは全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL、9201)のボーイング767-300型機による2件だった。
ANAの767は6月20日に成田空港へ着陸した際にハードランディングとなり、機体を点検した結果、主翼前方付近の胴体上部が変形していた。乗客5人と客室乗務員4人が軽傷を負った。
一方、JALの767は11月26日に成田を離陸時、機体が揺れて乗客1人が右足首を骨折した。
事故につながりかねない重大インシデントは8件。空港で離陸機が滑走路へ誤進入したことなどによるゴーアラウンド(着陸復行)や、オーバーランなどが発生した。また、今年1月16日にはANAの787が高松空港へダイバート(代替着陸)し、緊急脱出を行った件も含まれている。
また、安全上のトラブル要因は、機材不具合が528件でもっとも多く、航空機衝突防止装置(TCAS)や対地接近警報装置(GPWS)の回避指示による回避操作が192件、ヒューマンエラーが116件、被雷が82件、鳥などによる損傷が35件、その他が38件だった。
ヒューマンエラー116件の内訳は、整備55件、運航51件、設計製造5件、客室3件、地上作業1件、その他1件となった。
同委員会では、報告された事案に対して関係者により必要な対応がとられているとし、引き続きフォローアップを適切に行っていくべきことが確認された。
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国土交通省
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