“ぼったくり男爵”ことIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長(67)が7月8日午後、羽田空港第3ターミナル(旧称国際線ターミナル)に到着した。前回2020年11月15日の来日時はビジネスジェットだったが、今回は自国のルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)の定期便、フランクフルト発羽田行きLH716便(ボーイング747-8型機、登録記号D-ABYM)を使い、午後0時14分に到着した。
8日午後8時から開かれた東京オリンピック5者会談で、「緊急事態宣言はどういうものなのか」というパワーワードを放ったバッハ会長。これまでも慇懃無礼な発言が反発を呼んできたが、日本の現状を予習せずに来日したとも受け取られかねない内容で、来日早々ネット世論を炎上させていた。ここまでくると、日本の世論を逆なでするような数々の行動は、意図的なのか、天然なのかすらわからない。
近年、過度な商業主義を批判されることの多いオリンピックや“オリンピック貴族”と揶揄されるIOC委員だが、1984年開催のロサンゼルス大会をその原点とする見方が一定の評価として定まっている。40年弱の時間軸で、ここまでヒール扱いされたIOC会長も珍しいと言えるだろう。オリ・パラ期間中、世界に休戦を呼びかける「オリンピック休戦」が始まる16日には、被爆地の広島を訪問する方向で調整が続いていると報じられているが、これもノーベル平和賞の受賞目的とまで言われてしまっている。
そんなバッハ会長が乗ったルフトハンザの747-8だが、羽田線への投入は現地時間7月1日から再開したばかり。ちなみに8日の使用機材は再開初便と同じ機体で、外観は旧塗装、自動車のナンバーにあたる登録記号「D-ABYM」の747-8だった。羽田線は6月末までは週3往復だったが、需要増を見越して週7往復のデイリー運航に増便した上での大型化となった。
747-8はジャンボの愛称で親しまれる747の最新型。旅客型はインターコンチネンタルと呼ばれ、19機導入したルフトハンザの初号機(D-ABYA)は2012年4月25日に引き渡された。羽田には2014年10月27日に初飛来し、現行塗装の機体が最初に投入されたのは、2018年2月21日の羽田到着便だった。
座席数は4クラス364席で、ファースト8席、ビジネス80席、プレミアムエコノミー32席、エコノミー244席。大型化前のエアバスA350-900型機は3クラス293席(ビジネス48席、プレミアムエコノミー21席、エコノミー224席)だった。
バッハ会長の搭乗クラスは明らかにされていないが、ファーストクラスと考えるのが妥当だろう。ルフトハンザの747-8の場合、ファーストクラスはメインデッキ(1階席)の最前部にあり、両サイドに3席ずつ計6席、中央に2席の配置になっている。
9日時点でフランクフルト-羽田間のファーストクラス運賃を往復で調べると、フランクフルト発が4242.74ユーロ(約55万2100円)、羽田発が4166.64ユーロ(約54万2300円)で、諸費用などを含む合計額は8409,38ユーロ(約109万4300円)だった。羽田発で調べると往復約170万円だったので、フランクフルト発のほうが安いようだ。
日本の前政府専用機B-747-400も同じ場所に貴賓室を置いていたが、最前方左側「L1」ドアを入るとほかの乗客は右へ向かい、左側にあるファーストクラスのエリアを通ることがなく、他クラスとは隔絶された空間になる。一方、ビジネスクラスはL1ドアより右側のメインデッキ前方と、アッパーデッキ(2階席)となっている。
座席は近年流行の個室タイプではなく、開放型なのが今では珍しい。ビジネスクラスも開放型で、2016年から受領しているA350-900も同じタイプのシートを採用しており、ドイツはこちらのタイプが好みのようだ。
ボーイングは2022年で747の製造を終える。日本へ乗り入れる747は年々減少しており、コロナ後の羽田でみられる欧州路線の747はルフトハンザのみとなる。同社はA350に2023年夏の終わりごろからファーストクラスを導入する方針で、今後の747-8の動向が注目される。
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