「短い滑走路でも運航しやすかった」写真特集・ANA 737-700退役

　「短い滑走路や悪条件でも運航しやすく、非常に安心感のある機体でした」。ANAホールディングス（ANAHD、9202）傘下のANAウイングス（AKX/EH）が運航してきたボーイング737-700型機が6月27日、岡山発羽田行きNH654便を最後に退役した。737の中でも世界的に主流の737-800と比べて胴体が5.9メートル短い737-700は、座席数も2クラス120席（プレミアムクラス8席、普通席112席）と普通席が46席少ないため、地方を中心に全国各地を飛んだ。

　こうした地方空港でも操縦しやすかったと振り返ったのは、NH654便の機長を務めた岡山出身の大ヶ谷雄一さん。737-500で副操縦士になった後、737-700で機長昇格したこともあり、ラストフライトを担当できたことを喜んでいた。

737-700のラストフライトとなった岡山発羽田行きNH654便の乗務を終え、乗客をすべて見送りクルーバスへ乗車前にJA06ANと最後の記念撮影をする客室乗務員＝21年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　737-700と-800は、小型機737では第3世代にあたる「次世代737（737NG）」と呼ばれる機体で、パイロットは同じライセンスで操縦できる。一方、737-700の座席数は150席未満のため、客室乗務員は4人乗務する737-800より1人少なく、3人でこなさなければならない。最終便に乗務した客室乗務員は、「3人で乗務する分、チームワークが求められました」と話し、その分やりがいや接客の楽しさを感じる機体でもあったという。ラストフライトのNH654便は通常より1人多い、4人の客室乗務員が乗客をもてなした。

羽田空港で撮影に応じる737-700のラストフライトとなった岡山発NH654便のパイロットと客室乗務員＝21年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　持株会社化前の全日本空輸（ANA/NH）は、18年前の2003年6月28日に737-700を45機確定発注。当時運航していたエアバスA320型機（従来型）26機、2機の737-400、25機の737-500の小型機53機を更新する目的で選定した。機材統合で年間約60億円の運航コスト削減が見込めるとして、国内線と国際線両方に対応できる機材として大量発注したものだ。

　2005年12月23日の国内線就航時、座席数は1クラス136席で、2006月1月16日就航の国際線では1列目から9列目までの最大36席を「Premium Economy Asia」と名付け、中央座席をテーブルとして1列2-2席として扱う運用だった。

　2008年4月1日の国内線プレミアムクラス導入を前にした2007年10月には、45機のうち12機を737-800に変更し、その後の変更も合わせると27機が737-800となり、両機種は最終的に737-700が18機、737-800は自社発注分だけで36機と、より座席数が多く、乗客が少ない時間帯は国内線幹線も飛ぶ737-800が多数派になった。

中央の非常口が片側1箇所の737-700＝21年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　1995年7月の就航から25年飛び続け、2020年6月に退役した「737クラシック」と呼ばれる第2世代の737-500（1クラス126席）と比べると、737-700は国内線の座席数が10席増えた。一方、胴体中央の非常口が737-800は片側2カ所あるのに対して、737-700は737-500などと同じ1カ所で、小型機らしさ、737らしさを感じさせる機体の大きさを愛する航空ファンもいたようだ。

　ANAの運航便としては6月27日がラストフライトとなった737-700。ANAグループが運航するジェット機ではもっとも小さく、就航から16年と旅客機では早めの退役となったが、18機のうち8機（1クラス144席）はANAHDが出資するエア・ドゥ（ADO/HD）が運航を続けており、あと数年は日本国籍機の姿がみられそうだ。

＊写真は32枚。

羽田空港82番スポットへ向かう737-700のラストフライトとなった岡山発NH654便のJA06AN＝21年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港82番スポットへ向かう737-700のラストフライトとなった岡山発NH654便のJA06AN＝21年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に到着する737-700のラストフライトとなった岡山発NH654便＝21年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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