全日本空輸(ANA/NH)が羽田空港で初開催した機内結婚式の挙式会場となったボーイング777-300ER型機(登録記号JA783A)が6月15日午前9時7分ごろ、羽田空港を離陸し売却先の米国へ向かった。フェリーフライトのNH9433便としてホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(旧称ホノルル国際空港)を経由し、カリフォルニア州のモハーヴェ(モハベ)空港が最終目的地となる。
ANAは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で国際線を中心に大幅な減便が続く中、社員の発案で機内結婚式を5月と6月に開催。長距離国際線用の777-300ERを使い、1回目は5月23日にJA783Aを挙式会場として開かれた。
JA783Aは2008年7月に引き渡された機体で、座席数は4クラス264席(ファースト8席、ビジネス52席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー180席)。旅客機は通常20年程度は使用されるため、13年と比較的早期の退役になった。
機内結婚式の便名は、末広がりなどの意味を込めてNH8888便、行き先は「ジューンブライド」発祥の地と言われ、ANAが新路線開設を予定してるミラノとした。機内では、新郎新婦を客室乗務員が機内アナウンス風の祝福メッセージで祝い、機長が結婚の立会人になった。 価格は挙式のみが155万5000円、披露宴付きは300万円だった。
ANAの777-300ERは、2004年11月15日に就航。羽田-ロンドン線、ニューヨーク線などの長距離国際線を中心に投入している機材で、ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、2020年に最初の退役機が出るまで28機運航していた。
新型コロナの影響を受け、ANAHDは事業構造改革を2020年10月27日に発表。コスト削減の一環で777-300ERを含む35機の退役を進めており、777-300ERは13機退役させる。改革案の発表前は、777-300ERの退役は計画していなかった。
13機のうち、これまでに退役済みの777-300ERは、今回のJA783Aも合わせると登録記号順にJA731A-736A、JA777A、JA778A、JA781-783Aの11機で、残りはJA779AとJA780Aの2機。このうちJA779Aは、6月19日と20日にANAが羽田空港で開く777-300ERの機内をレストランにするイベント「翼のレストランHANEDA」が最後の仕事となる見込み。
同時に国内線機材の777-300(2クラス514席)も、JA756AとJA757Aの2機が今年2月までに退役しており、777-300全体では15機が構造改革により退役する。
関連リンク
全日本空輸
777で結婚式
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ANAの777-300ER退役
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