6月10日夜、菅義偉首相を乗せて英国へ向かう予定だった政府専用機B-777の任務機(機体番号80-1112)で機内照明に不具合が発生し、予備機(80-1111)に機材を変えて約1時間20分遅れで羽田空港を出発した。G7サミット(主要7カ国首脳会議)が開かれる英国南西部のコーンウォールには、予定より約20分ほど遅れて現地時間11日午前0時(日本時間同日午前8時)ごろ到着した。
防衛省によると、羽田空港で出発準備をしていた任務機の機内照明に、午後5時ごろ不具合が見つかったという。午後7時に出発予定だったが、菅首相が乗り込む前に搭乗していた政府関係者や同行記者団は隣に駐機していた予備機に乗り換え、搭載していた荷物も積み換えて午後8時20分ごろ出発した。首相らを乗せる「任務運航」は、政府専用機を2機1組で運用しているが、10日は菅首相らを乗せた予備機のみ出発した。
2機あるB-777は、民間機のボーイング777-300ER型機を改修した機体で、2019年4月から運用開始。1993年に初の任務運航に就いた先代のB-747-400は747-400をベースとした機体で、整備や教育の委託先は日本航空(JAL/JL、9201)だったが、B-777は全日本空輸(ANA/NH)の親会社であるANAホールディングス(ANAHD、9202)が受託している。一方、パイロットや民間機の客室乗務員にあたる空中輸送員などの職種は、空自千歳基地の特別航空輸送隊に所属する隊員が担っている。
防衛省によると、不具合が発生した機体は飛行への影響はないものの、ANAで整備しており、作業完了後に英国へ向かう予定だという。2019年4月にB-777を運用開始後、予備機に交代した事例は2件あった。
定刻出発を厳守する任務運航で、大幅な遅延は異例。先代のB-747-400では、少なくとも退役前5年間に羽田空港を遅れて出発するトラブルは起きていなかった。
関連リンク
防衛省
航空自衛隊
特別航空輸送隊
Boeing
ボーイング・ジャパン
全日本空輸
定時出発できず
・政府専用機B-777、機材不具合で定時出発できず 予備機に乗り換え(21年6月10日)
B-777
・新政府専用機、初の任務運航 安倍首相が欧米歴訪(19年4月22日)
・次期政府専用機、2号機が千歳到着(18年12月11日)
・次期政府専用機、安倍首相が羽田で視察 新旧並ぶ(18年10月20日)
・次期政府専用機、初の飛行訓練(18年9月26日)
・次期政府専用機、千歳基地に到着 19年度の運用向け訓練本格化(18年8月17日)
・次期政府専用機、ANAで自衛官初訓練 777モックアップで(17年5月15日)
・次期政府専用機、777-300ERに正式決定 ANAが整備教育(14年8月12日)
747-8やA350ではなくなぜ777-300ER?
・なぜ次期政府専用機は777-300ERが選ばれたのか(18年8月19日)
B-777と交代
・日の丸掲げた乗降口も変わる 写真特集・政府専用機B-777(19年4月7日)
・政府専用機、千歳基地で交代式典 現行機は地球365周(19年3月24日)
写真特集・羽田に並ぶ新旧政府専用機
・日章旗掲げた747と並ぶ777(18年10月20日)
動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・初代政府専用機B-747-400の貴賓室
写真特集・前政府専用機 貴賓室公開
・鏡のようなバックルと菊菱模様のソファ
B-747
・旧政府専用機B-747初号機が離日 旅客型ジャンボ姿消す(19年6月28日)
・旧政府専用機B-747、2号機が離日(19年6月19日)
・地球365周で退役 写真特集・政府専用機B-747-400(19年3月31日)