日本航空(JAL/JL、9201)は6月8日、社員の夏季一時金(ボーナス)を基本給0.3カ月分にする案を同社の労働組合に提案した。主に若手社員の生活支援を目的とする1人10万円の特別手当は、冬に続いて支給する方針を示した。0.3カ月分は2012年9月の再上場後もっとも低い値で、主なグループ会社も同一条件となる見通し。
昨夏の一時金が1カ月分となった際は、特別支援金として15万円を支給。社員のテレワークが増加したことなどから、一時金とは別に支給した。冬の一時金は0.5カ月分に減少し、前年の4分の1と若年層を中心に影響が大きいことから、「激変緩和措置」として10万円を支給した。今夏も若手の支援を主目的としている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、JALの2021年3月期通期連結決算(IFRS)は、最終損益が2866億9300万円の赤字(20年3月期は480億5700万円の黒字)となり、再上場以来初の通期最終赤字を記録。今期(22年3月期)の業績予想は、合理的な数値の算出が困難として開示を見送ったが、コロナ前と比べて国内線の旅客需要が8割、国際線が4割程度まで回復すれば黒字化できるとの見通しを示している。
全日本空輸(ANA/NH)は今夏と冬の一時金について、支給を見送る方針を労働組合に伝えている。グループ各社は個別に対応する方針で、支給を検討している社もあるようだ。ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の2021年3月期通期連結決算(日本基準)は、最終損益が4046億2400万円の赤字となった。2022年3月期の業績予想は、35億円の最終黒字を計画している。
関連リンク
日本航空
JAL
・JAL、国内8割・国際4割回復で黒字化も 21年3月期は最終赤字2866億円(21年5月8日)
・JAL、冬季賞与0.5カ月分に 激変緩和措置10万円(20年11月13日)
ANA
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・ANA、社員の年収3割減で労使合意 1月から月給5%カット(20年12月26日)