日本航空(JAL/JL、9201)の100%子会社で中長距離国際線LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は、2機運航しているボーイング787-8型機の機内に抗ウイルス・抗菌コーティングを実施した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の一環で、7月21日から成田-ホノルル線を約半年ぶりに再開させる前に、乗客が直接手を触れる部分を中心にコーティングし、乗客の安心につなげる。
客室のシートやシートベルト、オーバーヘッドビン(手荷物収納棚)、窓枠、ラバトリー(化粧室)など、乗客が触れる部分を中心にコーティング。客室乗務員が機内サービスで使うギャレー(厨房設備)や、乗客が乗り降りするドアの操作部分などにも噴霧した。
作業はJALグループでグラハン業務を担うJALグランドサービス(JGS)のスタッフが担当。すでにJALの787には作業を実施しており、コーティング剤はJAL機と同様、中村・フクイヤ(愛知・大治町)の「ダイヤモンドマジィックD-V II」を使用した。長期間持続するもので、窓や鏡、電機部品がある部分は段ボール製カバーで覆いながら作業し、煙感知器や蛇口などはあらかじめカバーを掛けてコーティング剤を吹き付けていた。
ZIPAIRの787は現在2機で、いずれもJALで運航していた機体。初号機(登録記号JA822J)は5月11日、2号機(JA825J)は6月1日に、1機あたり約2時間半かけてコーティング作業が行われた。
コーティング済みの2機には、機体左側の乗客が乗降に使う「L1ドア」と「L2ドア」付近にはSIAA(抗菌製品技術協議会)の認証マークが貼り付けられた。
ZIPAIRでは、不織布マスクと除菌シートをセットにした「ZIPAIRケアキット」を乗客に配布し、飛行中は客室乗務員が定期的に機内を消毒している。ラバトリーは原則として1人が使用後は客室乗務員が清掃や消毒を行い、使用しない場合も30分程度に1回は手入れをしているという。
7月にホノルル線を再開すると、ZIPAIRの運航路線はバンコク線とソウル線を合わせて成田発着3路線となる。機材は今年度に導入を計画している3号機と4号機のうち、1機は新造機となり、残る1機は元JAL機になるが、ボーイングの製造工程で不具合が生じたことなどから、どちらの導入が先になるかは現時点で決まっていない。
ZIPAIRの787は座席数が2クラス290席。フルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席となる。
運航スケジュール
ZG2 成田(19:15)→ホノルル(07:55)運航日:水
ZG1 ホノルル(09:55)→成田(翌日13:15)運航日:木
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ZIPAIR
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機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ