仏のターボプロップ(プロペラ)機メーカーATRが、ATR42-600型機のSTOL(短距離離着陸)型ATR42-600Sの設計を終え、製造段階に入る。既存のATR42-600は離着陸可能な最短滑走路長が1000メートルだが、800メートル級の滑走路でも離着陸できる機体で、短い滑走路で運用している離島路線などへ投入できる。
すでに発注意向を示している航空会社もあり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でスケジュールの見直しは生じたものの、「絵に描いた餅」で終わることはなく、実際に飛ぶ姿がみられそうだ。
ATRは日本も同機のターゲットにしており、離島路線を持つ航空会社や新規に設立される航空会社に導入を働きかけるとみられる。
空港建設の議論が進む小笠原諸島や、新潟空港を拠点に就航を目指す低コストの地域航空会社の「TOKI AIR(トキエア)」など、離島への新たな航空路開設の機運は高まってきている。一方で、既存のターボプロップ機は50席クラスの機体になるとATR42-600のように1000メートル以上の滑走路が必要になり、より小型の機体は新造機の入手が年々難しくなってきているといった課題があった。
ATR42-600Sはどのような機体で、日本ではどういった空港がターゲットなのだろうか。
—記事の概要—
・乗客減らさず短距離離着陸
・多くは800m級滑走路
乗客減らさず短距離離着陸
ATRのターボプロップ機は、天草エアライン(AHX/MZ)が日本で初導入し、2016年2月20日にATR42-600(1クラス48席)を就航させた。その後、日本航空(JAL/JL、9201)グループで鹿児島空港を拠点とする日本エアコミューター(JAC/JC)がATR42-600(同48席)とATR72-600(同70席)を導入。2020年4月には、JALグループで札幌の丘珠空港を拠点とする北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)が、ATR42-600(同48席)を就航させた。1998年就航のHACにとって初の機材更新で、22年ぶりの新機材となった。
ATR42-600Sは、エンジンの改良で離陸推力が増加し、フラップ25度での離陸により離陸揚力も増えた。ラダー改修による横方向制御の向上、スポイラーを使用した揚力制御、自動ブレーキを組み合わせることで、STOL性を実現。800メートル級の滑走路を離着陸する場合、既存のATR42-600では乗客数を約半分の22人に抑えなければならないが、ATR42-600Sは定員48人を乗せて運航できるという。
競合となる
これより先は会員の方のみご覧いただけます。
無料会員は、有料記事を月あたり3記事まで無料でご覧いただけます。
有料会員は、すべての有料記事をご覧いただけます。
会員の方はログインしてご覧ください。
ご登録のない方は、無料会員登録すると続きをお読みいただけます。
無料会員として登録後、有料会員登録も希望する方は、会員用ページよりログイン後、有料会員登録をお願い致します。
* 会員には、無料個人会員および有料個人会員、有料法人会員の3種類ございます。
これらの会員になるには、最初に無料会員としての登録が必要です。
購読料はこちらをご覧ください。
* 有料会員と無料会員、非会員の違いは下記の通りです。
・有料会員:会員限定記事を含む全記事を閲覧可能
・無料会員:会員限定記事は月3本まで閲覧可能
・非会員:会員限定記事以外を閲覧可能
* 法人会員登録は、こちらからお問い合わせください。
* 法人の会員登録は有料のみです。