仏のターボプロップ(プロペラ)機メーカーATRは、ATR42-600型機の改良型で短い滑走路で離着陸できる「ATR42-600S」の設計を終えた。サプライヤーは部品の製造を始められるようになった。
*ATR42-600Sと日本市場の解説記事はこちら。
ATR42-600Sは、800-1000メートルの短い滑走路で離着陸できるATR42-600のSTOL(短距離離着陸)型。座席数1クラス30-50席の市場をターゲットにしており、日本でも離島路線を持つ航空会社などに売り込んでいく。
2017年6月に開発発表し、2019年10月にローンチ。エンジンの改良で離陸推力が増加し、フラップ25度での離陸により離陸揚力も増えた。ラダー改修による横方向制御の向上、スポイラーを使用した揚力制御、自動ブレーキを組み合わせることで、STOL性を実現した。800メートル級の滑走路を離着陸する場合、既存のATR42-600では乗客数を約半分の22人に抑えなければならないが、ATR42-600Sであれば、定員48人を乗せて運航できるという。
設計審査が完了したことで、ATRの協力会社やサプライヤーはコンポーネントやツールの調達、部品の製造を開始出来るようになった。現地時間5月12日の発表によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、開発スケジュールを今年3月に再調整したという。
関連リンク
Avions De Transport Regional
ATR42-600S
・小笠原も視野 STOL機ATR42-600S、日本の就航候補地はどこか(21年5月22日)
ATR
・HACのATR、2号機が丘珠到着 初の通常塗装、20日就航(21年4月16日)
・ATR、航空需要は回復初期段階 貨物型やSTOL型拡販(21年3月19日)
・フェデックス、ATR72-600F初受領 プロペラ貨物機(20年12月16日)