ボーイングは現地時間5月13日、サーブと共同開発した最新ジェット複座型練習機T-7A「レッドホーク」の前部胴体と後部胴体の結合作業時間を短縮したと発表した。T-7Aは設計や製造工程などにデジタル工学を駆使しており、従来よりも作業時間を95%短縮し、30分以内に結合作業を終えたという。
T-7Aの胴体結合は、前部胴体を製造するボーイングのセントルイス工場に、7200キロ以上離れたスウェーデンのリンショーピンにあるサーブで設計・製造された後部胴体が運ばれ、ボーイングの整備士によって作業が行われた。ボーイングによると、設計やエンジニアリング、製造工程をデジタル化したことで、全体的な製造品質が50%向上し、穿孔(穴開け)の欠陥が98%減少したという。
今回の機体は静的試験に用いるもので、胴体が結合された最初の技術・製造開発試験機。今後は5機の技術・製造開発機を生産後、米空軍向けに351機製造する計画になっている。
T-7Aは、これまでT-Xとして開発が進められてきた単発練習機で、1959年に初飛行したノースロップ・グラマン(当時ノースロップ)T-38「タロン」の後継機。F-22やF-35といった第5世代戦闘機のパイロット養成を主眼に置き新規開発した。飛行試験初号機は2016年12月20日に、2号機は2017年4月24日に初飛行し、2019年9月にT-7「レッドホーク」と命名された。
エンジンは単発ながら双発のT-38Cと比べて推力が約3倍となり、近年の戦闘機と同じ垂直尾翼が2枚の「ツインテール」を採用して全高を抑えた。コックピットは教官が座る後席を前席よりやや高い位置に配した「スタジアムシーティング」とすることで視界を確保している。地上とのデータリンクやキャノピーを横開きにするなど、T-38を使う教官の声を開発に反映し、製造コストを抑えた。
レッドホークは2023年までに最初の引き渡しが行われ、2024年までに初期運用能力、2034年までに完全な運用能力をそれぞれ獲得できる見込み。ボーイングは、日本を含む海外でのライセンス生産にも意欲を示している。
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U.S. Air Force
Boeing
ボーイング・ジャパン
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