日本航空(JAL/JL、9201)は4月23日、長期間持続する抗ウイルス・抗菌コーティングを、機内の座席や壁面などを対象に開始したと発表した。JALグループの機材を含め、全機に順次施す。機内の抗ウイルス・抗菌加工は日本の航空会社としては初めての取り組みで、空港での抗菌対策と合わせ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に努め、清潔な環境を提供する。
—記事の概要—
・グループ含め年内完了へ
・1機あたり3-5時間で作業
・PCR検査は1万7000件以上
グループ含め年内完了へ
シートのほかオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)の取っ手やラバトリー(化粧室)など、旅客が触れる部分を中心にコーティングする。また、客室乗務員が使用するギャレー(厨房設備)も噴霧し、抗菌対策を施す。コーティング剤は中村・フクイヤ(愛知・大治町)の「ダイヤモンドマジィックD-V II」を使用する。
対象となるのはJALグループの全機材で、JAL本体は7月までに、JACやHACなどは年内に完了する見込み。既存機のほか、今後受領するエアバスA350型機などの新造機にも導入。新造機はコーティング後に運航を開始する。
コーティング作業は4月に入ってから開始し、これまでに10機完了した。コーティング済み機材には、前方左側の乗客が乗降に使う「L1ドア」付近には、SIAA(抗菌製品技術協議会)の認証マークを貼付する。
1機あたり3-5時間で作業
JALは4月23日に、羽田空港の同社格納庫でのコーティング作業を報道関係者に公開。国内線に投入するボーイング767-300ER型機(登録記号JA659J、2クラス261席)のシートやテーブルなどに、JALグループでグラハン業務を担うJALグランドサービス(JGS)のスタッフがコーティング剤を噴霧した。
1機につき2-4人で作業し、作業時間は1機につき3時間から5時間程度。対象物が湿る程度に施す。コーティングははがれない限り有効だが、効果はおよそ3年から5年程度続くという。
コーティング剤「ダイヤモンドマジィックD-V II」は、SIAA(抗菌製品技術協議会)が定める抗ウイルス・抗菌性能と安全性が確認されている。
PCR検査は1万7000件以上
JALは新型コロナの感染拡大防止策として、空港に設置する自動チェックイン機や自動手荷物預け機(SBD=Self Baggage Drop)のタッチパネルを非接触化。タッチパネルの上部や横にタッチレスセンサーを設置することで、画面を触れずに操作できるようにした。JGSはPBB(搭乗橋)がない駐機場で乗客が乗り降りする際に使うステップ車に、年度内の作業終了を目標に抗ウイルス・抗菌コーティングを施している。
また、PCR検査を旅行前に受けられるサービスを2020年10月23日からツアー商品の利用客を中心に提供してきたが、3月8日からはJALのマイル制度「JALマイレージバンク(JMB)」会員にも拡大。搭乗期間は6月30日までが対象で、これまでに1万7000件以上を提供した。
これらの新型コロナ対策について、海外の2つの第三者機関から最高評価を獲得。英国の航空業界調査会社SKYTRAX(スカイトラックス)社の格付け「SKYTRAX COVID-19 Airline Safety Rating」で最高評価の5つ星(5スター)を、米国の非営利団体APEX(The Airline Passenger Experience Association)の監査「Health Safety Powered by SimpliFlying Audit」からは3段階のうち最高評価の「Diamond」を獲得した。
関連リンク
日本航空
JALの新型コロナ対策
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