外国人観光客にも人気の東京・秋葉原に、航空機のファーストクラスをイメージしたカプセルホテル「ファーストキャビン秋葉原」が6月27日にオープンする。
2009年4月に1店舗目の大阪・御堂筋難波店が開業し、10年3月に2店舗目の京都・烏丸店、昨年4月に都内初出店となる羽田店が3店舗目として開業。4店舗目の秋葉原店周辺には、競合するビジネスホテルや男性客相手のカプセルホテルが立ち並ぶ。
競争の激しい秋葉原では、どのような点を売りにするのだろうか。
ピーチを意識?
秋葉原駅昭和通り口近くにオープンする同店の部屋数は149室で、エレベーターは男女別に設置。鈴木芽衣子支配人によると、羽田店はダークブラウンなど、落ち着いた色を基調としているのに対し、秋葉原店は「クール&フュージョン」をテーマに掲げ、女性を意識して桃色と紫色の中間色「フーシア」を壁面などに取り入れたという。
客室のコンセプトはファーストクラスだが、宿泊施設としてはコストパフォーマンスの良さを目指しているため、低コスト航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション(APJ)をイメージしたようだ。スタッフの制服もフーシアをキーカラーにしたものを採用している。
想定ターゲットは、ビジネス客に加えて浅草や東京スカイツリーへの観光客、アニメやフィギュア、アイドルファンなど。鈴木支配人は「東京ドームに近いので、コンサートの観客も取り込みたい」と意気込む。
男女エリアを可変
秋葉原店は5階建ての新築オフィスビルに入る。2階から4階が客室で、2階が女性用、3階と4階が男性用。3階は扉で仕切ることで、男性と女性のエリアに分割できるようにした。標準では全館の男女比は男性2室に対して女性1室だが、予約状況に応じて男女同数に変更できる。
鈴木支配人によると、羽田店では女性客の予約がいっぱいになり、男性エリアには余裕がある場合も建物の構造上、柔軟に対応できなかったという。今回は難波店で採用している構造を取り入れた。
フロアを男女別にしているのは、ファーストキャビンは旅館業法上は簡易宿所となり、各室の出入口を施錠できないため。各店では男女別の入り口を採用しており、秋葉原店はエレベーターから男女別にすることで、女性が一人でも利用しやすい構造にした。入り口は、フロントで受け取るカードキーをかざすと自動ドアが開く。
女性に優しい共用施設
客室は部屋やベッドが広めの「ファーストクラスキャビン」が広さ4.4平方メートルで32室(男24、女8)と、標準的な「ビジネスクラスキャビン」が広さ2.5平方メートルで117室(男75、女42)の2クラス。ファーストクラスは液晶テレビが32インチ、ベッドの幅が120センチメートル、ビジネスクラスは26インチ、100センチメートルとなる。無線LANと有線LAN、電源コンセントは全室備えている。
共用施設は、1階フロント横のラウンジのほか、大浴場やシャワーブース、化粧室、喫煙ブース、コインランドリーを備え、客室内での会話を禁じているため女性専用ラウンジも備えた。「アメニティーは女性用ではメイク落としや化粧水などがあるため、種類が多い」(鈴木支配人)という。
フーシアを基調とした館内や、女性客の予約が多い際に部屋数を増やせるなど、周辺の競合施設が男性をメインターゲットとしているのに対し、女性客の獲得を目指すようだ。また、飛行機をモチーフとする目新しさで、外国人観光客にも訴求していく。
宿泊料金はファーストクラスが5800円、ビジネスクラスが4800円。2時間利用からのショートステイは、ファーストは2000円から、ビジネスは1600円からで、ファーストは1時間につき1000円、ビジネスは同800円。チェックインは午後5時から、チェックアウトは午前10時からで、ラウンジでは朝食を提供する。
開業記念として、6月27日から7月31日まで、ビジネスクラスの宿泊料金を1000円割引し、3800円で提供する。
今後の展開については、「各地の空港からも問い合わせが来ている」(ファーストキャビン広報)としており、都心部や空港への出店を目指す。
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