成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は4月13日、顔認証技術を使った搭乗手続き「Face Express(フェイスエクスプレス)」の実証実験を開始した。チェックイン時に登録した顔写真を使い、保安検査場や搭乗口で歩きながら本人確認する“顔パス(ウォークスルー)”の搭乗手続きで、成田・羽田の国際線で7月から本格運用する。
—記事の概要—
・OneIDの愛称「Face Express」
・チェックイン時に顔情報ひも付け
OneIDの愛称「Face Express」
両空港の国際線チェックインカウンターと保安検査場の入口、搭乗口に、日本電気(NEC、6701)の顔認証システムを導入した機器を設置。係員が搭乗券とパスポートを目視で確認せずに通過できるようにした。
成田では当初、全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)の2社が参加し、順次拡大していく。羽田では国際線を運航する各社が参加し、第3ターミナル(旧称国際線)のほか、現在は閉鎖中の第2ターミナル国際線施設でも導入する。
顔認証技術を使った搭乗手続きは、航空会社などが加盟するIATA(国際航空運送協会)が推進する旅客搭乗手続きの自動化プロジェクト「Fast Travel(ファストトラベル)」のひとつで、「OneID(ワンアイディー)」と呼ばれている。NAAは、顔パスで搭乗できることが利用者に伝わるよう、OneIDに「Face Express」と愛称を付けてロゴも用意し、成田と羽田の両空港に導入した。
チェックイン時に顔情報ひも付け
Face Expressでは、利用者がチェックイン時に顔写真とパスポート情報、搭乗券情報をひも付けると、認証システムに情報が一時的に格納される。保安検査場の入口や搭乗口などで、歩きながら撮影した顔写真を認証システムの情報と照合して本人確認する。
チェックイン以降の手荷物の預け入れや保安検査、搭乗口などで搭乗券とパスポートを提示する必要がなくなり、接触リスクの軽減にもつながることから、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止策としても位置づけている。乗客が手荷物を預ける際は、チェックイン機でタグを印刷し、自分で手荷物にタグを付けて自動手荷物預け機に持ち込む。
成田の設置場所は、第1ターミナルがチェックインカウンターCと51-57A搭乗口、第2がカウンターKと61-66、71、81-83、91-93搭乗口。搭乗口のゲートは顔認証のほか、従来の搭乗券とパスポートを読み取る運用にも対応しており、Face Expressを採用していない航空会社も同じ搭乗口を使用できるようにした。
羽田は第3がカウンターD-EとG-J、すべての搭乗口、閉鎖中の第2ターミナル国際線側はカウンターP-QとT、すべての搭乗口となる。
当初の導入時期は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに照準を合わせていたが、コロナの影響で技術者が来日できないなどの問題で工期が伸び、費用もかさんだという。今後は7月の本格運用開始に向け、機器の調整や実際に乗客が使った際の課題を洗い出す。
*写真は16枚。
関連リンク
Face Express(成田国際空港)
成田空港
羽田空港
Face Express運用初日
・JAL、顔パス搭乗スタート 成田・羽田の国際線(21年7月19日)
・ANA、成田で顔パス搭乗 メキシコ行きから対応(21年7月19日)
導入準備
・JAL、自動手荷物預け機で待ち時間短縮 成田空港に導入(19年11月4日)
・ANA、成田国際線で自動手荷物預け機 17日から(19年9月13日)
・成田空港、顔パス搭乗20年春から 日本初、NECの顔認証システム採用(19年6月1日)
・成田空港、「顔パス」で搭乗 日本初導入、20年春からJALとANA(19年3月2日)