ロシアのUAC(統一航空機製造会社)は現地時間4月9日、Il-96-300型機の最新生産機(登録記号RA-96024)が初飛行したと発表した。今後試験を実施し、顧客に引き渡すという。
機体はロシア南西部ヴォロネジにあるVASO(ヴォロネジ航空機製造)の工場で生産され、エンジンはロシアのアヴィアドヴィガーテリ製PS-90Aを4基搭載。今回の初飛行では高度5000メートルから9000メートルを飛行し、機体の安定性やシステムなどの動作確認を行った。約2時間のフライトで、下降中には着陸進入装置の試験も実施した。
今回の機体には、欧州と国際的な基準を満たす最新システムと航法装置を搭載しているという。また、機体の塗装には保護力を高める新技術が採用された。VASOの従業員のうち、約7割がこの機体に関わっているという。
Il-96は旧ソ連時代にイリューシン設計局(当時)が開発したエンジンが4基あるワイドボディー機で、1988年に初飛行。座席数は最大300席、最大離陸重量は250トンで長距離国際線を念頭に置いた機体だが、同世代のボーイングやエアバスの機体と比べ、3人乗務のコックピットや客室装備が前時代的であったことなどで販売実績は芳しくなく、製造が一時途絶えていた。
大きさは全長55.345メートル、全高17.55メートル、翼幅60.105メートルで、胴体径は6.08メートル。全長64.7メートル、全高18.6メートル、翌幅64.8メートルのボーイング777-200型機と比べると一回り小さい。
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UAC
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