日本航空(JAL/JL、9201)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査結果やワクチン接種歴をスマートフォンで確認できるデジタル証明書アプリの実証実験を4月2日から始めた。「コモンパス(CommonPass)」「VeriFLY」「IATAトラベルパス(IATA Travel Pass)」の3種類で、2日はコモンパスの検証を羽田空港で報道関係者に公開し、5日には成田空港でも実施する。国際線の本格的な運航再開に向け、複数のアプリを検証することで、紙の証明書の代わりに各国政府が求める情報を提供しやすい運用環境の構築を目指す。
今回の実証実験では、乗客が搭乗前に受けたPCR検査の結果などをスマートフォンに表示し、地上係員が渡航先の入国要件などを満たしているかを確認する。航空会社は検査結果などの情報を持たず、各デジタル証明書アプリが各国の法令や利用者の許諾に基づいて情報を管理する。
2日と5日に検証するコモンパスは、スイスの非営利組織「コモンズ・プロジェクト(The Commons Project)」が世界経済フォーラムとの連携で推進しているもので、医療機関が発行する検査結果が渡航先の入国基準を満たしているかを検証し、検査結果をデジタル証明書としてスマートフォンに表示する。
対象便は、2日が羽田発ホノルル行きJL074便、5日が成田発シンガポール行きJL711便。羽田では、ハワイ州の指定医療機関である東邦大学の羽田空港第3ターミナルクリニックから、コモンパスのアプリへPCR検査の結果を受け渡したり、チェックインカウンターでアプリに表示されるデジタル証明書の確認などを実施した。
VeriFLYは、米Daon社が開発したアプリで、すでに米国内の一部路線で導入済み。JALは、一部の北米路線でVeriFLYを利用した搭乗手続きを4月下旬から始める予定で準備を進めている。
JALなどが加盟するIATA(国際航空運送協会)が開発を進めているIATAトラベルパスは、5月下旬から一部路線で試験導入を予定。世界の航空会社23社が実用化に向けて参加しており、JALは3月15日から試験導入プロジェクトに参画している。
JALによると、今回検証する3つのアプリのうち、コモンパスとIATAトラベルパスは世界共通規格を目指しているため、各国の空港で利用できるようになる可能性があるという。一方、VeriFLYはすでに米国の一部路線で実用化されていることから、検証対象に加えた。
実用化の時期について、JALカスタマー・エクスペリエンス本部CX企画推進部の中村智部長は「上期には目処を付けたい」と述べ、JALのシステムとの接続方法なども含めて検討していくという。
国内の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)も3月29日にコモンパスの実証実験を羽田空港で実施している(関連記事)。
関連リンク
日本航空
CommonPass
VeriFLY
IATA Travel Pass Initiative
・[体験記]JAL、2000円でPCR検査 唾液採取し郵送(21年3月25日)
・ANA、スマホでコロナ陰性証明 NY行きで「コモンパス」実証実験(21年3月29日)
・ANA、新型コロナ検査証明アプリの実証実験へ IATAトラベルパスでデジタル証明書(21年3月10日)