エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2021年4月1日 12:40 JST

パスポートなしでもファーストクラス堪能 ANA、羽田駐機777で「翼のレストラン」初開催

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 全日本空輸(ANA/NH)は3月31日、長距離国際線用機材ボーイング777-300ER型機の機内をレストランにするイベント「翼のレストランHANEDA」を、羽田空港第2ターミナルで初開催した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で国際線の大量運休が続く中、これまでは移動の付加価値だった機内食に焦点を当てた企画で、参加者の中にはパスポートを持っておらず、初の“国際線”がファーストクラスという人もおり、豪華機内食を堪能していた。

第1回「翼のレストランHANEDA」のファーストクラスで提供された和食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
ファーストとビジネスのみ
駐機しているからこそ食べられる人もいる

ファーストとビジネスのみ

 777-300ERのファースト、ビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーのうち、翼のレストランではファーストクラス8席とビジネスクラス52席のみ使用。31日は昼と夜の2部構成で、メニューは2クラスとも洋食(肉と魚)と和食の計3種類から事前に選ぶようになっていた。羽田発フランクフルト行きを想定し、便名は昼の部がNH7771便、夜はNH7772便が割り当てられ、9人の客室乗務員が乗務した。昼の参加者は56人で、ファーストが8人、ビジネスが48人だった。

第1回「翼のレストランHANEDA」のファーストクラスで提供された洋食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のビジネスクラスで提供された洋食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 販売は先着順で、1人あたりの参加費用はファーストが5万9800円、ビジネスが2万9800円。3月8日午前11時から受付を開始したところ、夜の部は翌9日午前までに完売した。実際に国際線で提供しているメニューで、機内に入る前には羽田第2ターミナルにあるANAラウンジを利用でき、各クラスで提供しているアメニティーもプレゼントする。

 参加者の中には、ANAが昨年8月から始めた総2階建ての超大型機エアバスA380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」による遊覧飛行の抽選がなかなか当選ぜず、今回のイベントを申し込んだという家族連れもみられた。

羽田空港第2ターミナルのカウンターで第1回「翼のレストランHANEDA」の参加者を出迎えるANAの地上係員=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 羽田から伊丹や宮崎などへANAの国内線を利用するという20代男性は、ファーストクラスで和食を選択。まだパスポートを取得しておらず、今回が初の国際線利用だったといい、「おいしかった。シャンパンとオレンジジュースのカクテルもよかった」と喜んでいた。

 徳島県の歯科医師、木本洋介さん(42)と息子の裕明さん(14)は、ビジネスクラスを利用。ANA便で予定していた海外旅行が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で返金になり、A380の遊覧飛行が当選しなかったこともあって、今回は発売後すぐに申し込んだ。

 洋介さんは「おいしかったのは肉。乗降用のドアが開いているのを見るまで、地上であることを忘れていた」と話していた。裕明さんは、「席が180度倒せてびっくり。普通のベッドと変わらない。料理はエコノミークラスと格段に違う」と話し、春休みの思い出になったという。

駐機しているからこそ食べられる人もいる

 機内食は飛行中に提供するものであるため、街中のレストランのように地上で提供するためには、営業許可などを取得する必要がある。会場となった羽田に駐機された777-300ER(登録記号JA782A)は、乗降に使うドアを開けた状態でイベントが開かれた。

第1回「翼のレストランHANEDA」の会場となったANAの777-300ER=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港第2ターミナル69番搭乗口から第1回「翼のレストランHANEDA」会場の777-300ERに向かう参加者=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 プロジェクトの責任者を務めるANAマーケティング室の山本卓史さんは、普段はマーケティング関係のシステムやウェブサイトなどを担当。プロジェクトメンバーには、コールセンターや営業、システムなどさまざまな部署から10人が集まって昨年12月から構想を練り、年明け1月から2カ月で実現させたという。今後は他空港でも開催できないかを検討するという。

プロジェクト責任者の山本さん=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、今回の機材は新ファーストクラス「THE Suite」と新ビジネスクラス「THE Room」を展開する2019年8月就航の新仕様機ではなく、2010年4月に日本で初めてビジネスクラスに全席通路アクセス可能な「スタッガード配列」を採用した従来仕様機だった。山本さんによると、今後は新仕様機でのイベントも検討したいという。

 機内では、ANAの機内食を手掛けるANAケータリングサービス(ANAC)の川崎工場で和食と洋食を担当するシェフが、調理してすぐに提供できない機内食ならではの工夫などを解説した。

 和食調理部の久保正信部長は、「ファーストは懐石スタイルで、市中の料理店と遜色ない。機内食は海外に行かないと食べられないが、今回は駐機しているからこそ食べられる方もいる」と、海外に出掛けられない人にも食べてもらえることを喜んでいた。

翼のレストランHANEDAでビジネスクラスの参加者に機内食を提供するANAの客室乗務員(同社提供)

 洋食調理部の山田真吾部長は、「ファーストは黒毛和牛のフィレステーキで、旬の野菜を使っている。お客様の声を直接聞けたことでモチベーションも上がった」と話していた。

 「機内食にフォーカスしたイベントはうれしい。イメージしていた機内食と違うという方もいた。もっともおいしい和食を提供する航空会社にしてきたい」(久保部長)と、参加者との交流を機内食のレベルアップにもつなげていきたいという。

 ANAでは、4月も翼のレストランを開催。14日から27日までの11日間で、昼と夜の2部構成で計22回開く。受付は専用サイトで、4月1日午後4時から先着順で受け付ける。

*写真は25枚(オフィシャル撮影除く)。
*新型コロナウイルスの影響で、イベント中の写真はオフィシャル撮影のみです。

第1回「翼のレストランHANEDA」で機内食について参加者に解説したANAケータリングサービス和食調理部の久保部長(中央)と洋食調理部の山田部長(左から2人目)ら=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」に“乗務”する9人の客室乗務員=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」の搭乗券サンプルを手にするANAの地上係員=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のファーストクラスで提供された和食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のファーストクラスで提供された和食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のファーストクラスで提供された洋食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のファーストクラスで提供された洋食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」で使用されたANAのファーストクラス=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のファーストクラス参加者にプレゼントされたアメニティ=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のビジネスクラスで提供された洋食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のビジネスクラスで提供された洋食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のビジネスクラスで提供された和食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のビジネスクラスで提供された和食メニュー=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」で使用されたANAのビジネスクラス=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」で使用されたANAのビジネスクラス=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」で使用されたANAのビジネスクラス=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のビジネスクラス参加者にプレゼントされたアメニティ=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1回「翼のレストランHANEDA」のバーカウンター=21年3月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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(2)ドア付き個室ビジネスクラス(19年7月15日)
(3)世界最大の個人モニター備える1列10席エコノミー(19年7月17日)
(4)木目調パネルで落ち着いた空間(19年7月19日)

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