日本航空(JAL/JL、9201)は3月22日、羽田空港国内線第1ターミナルに設置している自動チェックイン機や自動手荷物預け機(SBD=Self Baggage Drop)のタッチパネルを非接触化する取り組みを始めた。タッチパネルの上部や横にタッチレスセンサーを設置することで、画面を触れずに操作できる。3月末までに羽田国内線の導入を終え、4月からは札幌(新千歳)など主要空港に展開していく。同様の取り組みは国内の航空会社では初だという。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防対策の一環で、羽田は3月中にチェックイン機84台と自動手荷物預け機38台に、赤外線によるタッチレスセンサーを設置。センサーは日本エアロスペースの後付けタイプで、画面からの距離は自動チェックイン機が2.5センチ、自動手荷物預け機は4センチに設定した。赤外線は家庭用機器で使われているものと同じだという。
JALは昨年8月から9月にかけて、チェックイン機の画面をタッチレス化する実証実験を実施。この時にはチェックイン機を製造する沖電気工業(6703)の純正タッチレスセンサーを後付けしたが、汎用性のある日本エアロスペースのものを選んだ。
導入を担当するJAL空港企画部旅客・制度企画グループのカムチャイパイ・クンラウィッチさんは、「昨年実験した時よりも、銀行などでタッチレス化の取り組みが進み、身近になってきた」と、タッチパネルを触れずに操作するケースが増えつつあることも、正式導入に踏み切った理由の一つだという。今後は画面上部にタッチレスで操作できる注意書きを貼り付け、わかりやすくする。
JALは空港のチェックインカウンターやステップ車(タラップ車)などに対し、抗ウイルス・抗菌コーティングを進めており、羽田と成田、新千歳、伊丹、福岡、那覇の6空港は作業済み。コーティングに加えて自動チェックイン機と手荷物預け機のタッチレス化により、接触感染が発生する可能性を最小化する。
JALは羽田を皮切りに、2020年から空港の利便性を高める「スマートエアポート」と呼ぶ取り組みを進めている。ITを活用した人的サービスと、最新技術によるセルフサービスを組み合わせることで、地上係員が接客したほうが良い分野に注力しやすい環境を整えている。新千歳と伊丹、福岡、那覇の4空港も対象で、タッチレスセンサーも4月以降これらの空港に展開していく。
スマートエアポートの導入時期は、新千歳が今夏、伊丹と那覇が今冬、最後の福岡は2022年春を予定している。
首都圏の1都3県では、緊急事態宣言が22日に解除された。JALによると、国内線の予約数は1週間前の15日が約3万5000人だったのに対し、22日は約4万5000人と1万人ほど増えたという。
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