エアバスとロールス・ロイス、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)を製造するフィンランドのNESTE(ネステ)は現地時間3月18日、航空機燃料としてSAFを100%使用した場合の排出ガスの研究を、ドイツ航空宇宙センター(DLR)と共同で始めたと発表した。SAFは現在、既存の化石由来ジェット燃料に50%まで配合して使用することができるが、燃料をすべて100%とした場合の排出ガスや性能への影響などを調べる。
調査プロジェクト「ECLIF3(Emission and Climate Impact of Alternative Fuels)」を立ち上げ、エンジンにロールス・ロイス製Trent XWB(トレントXWB)を採用したエアバスA350-900型機を使い、地上と上空で検証を進める。
エアバスが保有するA350の飛行試験機(登録記号F-WXWB)のエンジン1基に100%SAFを用いて、飛行中と地上の環境性能を検証。民間の旅客機を使った試験は初めてだという。16日に最初の試験飛行が実施され、4月にはA350の後方50メートルを追尾し、エンジンの排気を調べる。エアバスによると、通常のジェット燃料とSAFを比べてエンジンの挙動に違いはなかったという。
SAFは従来「バイオ燃料」と呼ばれていたもの。これまでの植物油などに加え、さまざまな原料から製造されるようになり、IATA(国際航空運送協会)が呼称を改めた。
関連リンク
Airbus
Rolls-Royce
NESTE
German Aerospace Center (Deutsches Zentrum für Luft- und Raumfahrt; DLR)
SAF
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