宮崎空港に本社を置くソラシドエア(SNJ/6J)は3月13日、ホテルメトロポリタン川崎で物産展「ソラシドマルシェ」を開催した。同ホテルでは、川崎市が行政連携を結ぶ宮崎県の魅力を発信する「宮崎フェア」を2月1日から3月31日まで開いており、ソラシドは宮崎県産の野菜や果物などを試験的に空輸し、初日の13日以降の土曜と日曜の計6日間販売する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅客需要が落ち込む中、将来的な貨物事業の拡大に向けたトライアルを兼ねて実施している。
—記事の概要—
・特産品140キロ分用意
・旅客低迷で新規事業
特産品140キロ分用意
ソラシドは、2017年から羽田空港や二子玉川でソラシドマルシェを毎年開いてきたが、今年は川崎市が行政連携を締結する宮崎県の魅力を発信する「宮崎フェア」に合わせての開催となった。
ホテルエントランスの特設会場では、ズッキーニやミニトマトなどの「野菜&果物セット」、宮崎県産いちご「ひなた姫」が販売された。これら特産品は前日に3月13-14日分として空輸されたもので、重量で約140キロを用意したという。また、20-21日、27-28日も同量の販売を予定している。
会場となったホテルメトロポリタン川崎では、宮崎フェアに関連してランチブッフェとディナーブッフェを開催。チキン南蛮や冷や汁といった郷土料理のほか、キンカンを使ったコンポートなど多彩な料理が並び、宮崎の山海の幸に舌鼓を打つ大勢の来場者で賑わった。
旅客低迷で新規事業
航空業界は新型コロナの影響で旅客需要が激減しているが、貨物需要は堅調に推移している。ソラシドは旅客需要の低迷を受けて新規事業を模索しており、社員の発案で宮崎県産の野菜や果物の空輸を試験的に実施することになった。
ソラシドは、旅客のコードシェア(共同運航)を行う全日本空輸(ANA/NH)の貨物輸送を従来から受託しているが、今回はソラシドが荷主からの引き取りや納品などの陸送と、自社便による空輸を一貫して引き受けるもので、初の試みとなる。
今回のトライアルを企画した同社輸送本部の池田明史・新規事業準備室長は、「九州圏の農産品の多くは陸送で関西方面に出荷される。地元の農業関係者などから関東などに空輸できないかという声や、陸送コストや輸送時間を圧縮したいというリクエストがあり、陸送と空輸を組み合わせた陸空一貫貨物事業のトライアルを実施した」と、地元のニーズを受けてのテストであることを明かした。
車両を使った貨物輸送には運送業免許が別途必要になるため、現時点で事業化は検討段階。地元の道の駅や農業団体などから、関東圏の物産展などへの輸送などの受託を想定している。事業化した場合は宮崎県産品に限らず、九州の他県や沖縄県へのサービス拡大、農産物以外の取り扱いも視野に入れたいという。
「フォワーダー(貨物混載業者)を利用した場合、通常では中1日、最短でも翌日着になるが、私たちは朝採れたものを当日中にという輸送ニーズにも応えたい」(池田氏)と、貨物事業への意気込みを語った。
ソラシドはボーイング737-800型機を14機保有。羽田発着は宮崎や熊本など九州5路線、那覇発着が宮崎や石垣、神戸など6路線、中部発着が宮崎と鹿児島の2路線で、国内線13路線を運航している。現在は新型コロナの感染拡大による航空需要の減少に伴い、3月1日から27日まで8路線で425便を減便しており、減便率は20%となっている。
一方、3月28日開始の夏ダイヤでは、同社初の幹線となる羽田-那覇線を1日3往復で開設予定。ソラシドによると、ゴールデンウイーク期間の予約は堅調で、旅客需要は回復傾向にあるという。
*写真は9枚。
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