2月21日(現地時間20日)に米国で発生したユナイテッド航空(UAL/UA)のボーイング777-200型機(登録記号N772UA)のエンジン損傷トラブルを受け、国土交通省は同日、同じエンジンを搭載する777の運航停止を全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)に指示した。期間は対策の必要性の有無を検討する間としている。
ユナイテッド航空の当該機は、デンバー発ホノルル行きUA328便として現地時間20日午後(日本時間21日午前)に米コロラド州のデンバー国際空港を離陸直後、右エンジンにトラブルが発生して引き返した。空港周辺の住宅地や公園などには、インレット・カウルなどエンジン部品の一部が落下したが、乗客乗員を含めけが人はなかった。
当該機は、1995年9月にユナイテッド航空へ引き渡された機体で、エンジンは米プラット&ホイットニー製PW4000を2基搭載している。NTSB(米国家運輸安全委員会)が調査を進めているが、現時点で原因などの特定には至っていない。
国交省は追加対策の必要性の有無を検討する間、ANAとJALにPW4000を搭載する777-200と長胴型777-300の運航停止を指示した。21日時点で、ANAは対象機を19機、JALは13機保有しており、両社とも国内線に投入している。JALのウェブサイトによると、機材変更に伴いファーストクラスやクラスJに座席不足が発生しているという。
昨年12月4日には、同じエンジンを搭載する日本航空(JAL/JL、9201)の777-200(JA8978)も、羽田行きJL904便として那覇空港を離陸直後、左エンジンが損傷する「重大インシデント」が発生して引き返している。同便には乗客178人(幼児3人含む)と乗員11人の計189人が搭乗していたが、けがはなかった。
JA8978は、左エンジンに22枚あるファンブレードのうち2枚に損傷が見つかり、破損した2枚のうち1枚に疲労破壊の特徴である模様がみられた。同機は那覇で修理を終え、2月16日に羽田へ戻っている。
国交省航空局(JCAB)は、12月4日に点検頻度の引き上げによる点検強化をJALとANAに指示済みで、PW4000のファンブレードの検査間隔を従来の半分にあたる3250回ごとに短縮。両社はこの時に緊急点検を実施しているが、点検対象機に問題はなかった。
このほかに日本国内で起きたPW4000のトラブルでは、2016年5月に大韓航空(KAL/KE)の羽田発ソウル(金浦)行きKE2708便(777-300、HL7534)が、羽田を離陸滑走時に左エンジンから出火。JTSBの調査では、左エンジンの第1段高圧タービンディスクが破断し、エンジンケースを貫通した衝撃で燃料滑油熱交換器に亀裂が発生。亀裂から燃料が漏れ、滑油に引火したとの見方を示した。
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