成田空港開港直前の1978年3月、過激派が占拠事件を起こした旧管制塔が今年度内にも解体される。成田は国内の空港では唯一、航空機の地上移動業務を国土交通省航空局(JCAB)の管制官と、空港を運営する成田国際空港会社(NAA)が役割を分担している。NAAが担うランプコントロールは、駐機施設にある航空機や車両の動きを専門に管理。出発する航空機のプッシュバックのほか、航空機や車両の走行許可や指示を出す。これにより、管制官は誘導路や滑走路の管制に集中できる。
成田では1978年5月20日の開港から、旧管制塔13階の「ランプ中央運用室」でNAAの担当者がランプコントロールを、16階で管制官が管制業務を行っていたが、1993年に新管制塔が完成すると管制業務は移転。旧管制塔にはランプコントロールのみ残り、中央運用室は1995年3月に13階から16階へ移った。
しかし、開港から40年以上が経過し、旧管制塔の解体が決定。2020年9月10日から新しいランプタワー「ランプセントラルタワー」に中央運用室が移転し、旧管制塔は役割を終えた。
新タワーは5階建てで、高さ約60メートル。エプロンを走行する航空機の誘導や、駐機スポットの割り当て、飛行場面の管理などを担うコントロール室のほか、研修室やブリーフィングルームなどが入居する。ランプコントロールは5階の中央運用室で行い、仮眠室などがある低層階の1階と2階を耐震構造、高層階の3階以上を免震構造にした(新タワーの写真特集はこちら)。
現在は3つのタワーが並ぶ成田だが、まもなくその姿は見られなくなる。成田は当初、3200メートルの横風用C滑走路(RWY03/21)まで計画されていたが、激しい反対運動などで完成したのは4000メートルのA滑走路(RWY16R//34L)と2500メートルのB滑走路(RWY16L/34R)のみ。C滑走路を予定していた場所は現在、誘導路や駐機場に転用されている。その後、2019年11月に国交省が成田の基本計画を改定し、B滑走路南側に3500メートルの新C滑走路の整備が進んでいる。現在の予定では、2029年3月の完成を目指す。
旧管制塔の13階は、老朽化により雨漏りがひどくなっていた。一方で、開港当初に使用していた施設だけあり、運用中の滑走路を示す表示器は、旧C滑走路を想定したものになっていた。
本記事では、新タワー移転まで運用していた16階の中央運用室を中心に、13階も含めて取り上げる。
*写真は30枚。
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