エアライン, ボーイング, 機体 — 2020年10月30日 11:30 JST

777X、22年就航に 737MAX認証の知見反映

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 ボーイングは、開発中の次世代大型機777Xについて、2022年に就航させる。デビッド・カルフーン社長兼CEO(最高経営責任者)が現地時間10月28日に開いた2020年7-9月(第3四半期)決算の会見で明らかにした。これまでの計画より約1年遅れとなる。

2022年就航予定の777X=PHOTO: Marian Lockhart/Boeing

 777Xの開発について、カルフーン社長は「認証作業には737の認証プロセスで得た知見を反映させる」と述べ、2件の墜落事故が起きた小型機737 MAXの認証プロセスで問題となった点を踏まえて規制当局と連携していくという。一方、2022年とする現在の納期についても「最終的には規制当局の定める認証要件の影響を受けることになる」(カルフーン社長)とした。

 777Xは777の後継機で、メーカー標準座席数が2クラス384席の777-8と、426席の777-9の2機種で構成。航続距離は777-8が8730海里(1万6170キロ)、777-9は7285海里(1万3500キロ)を計画している。エンジンはGEアビエーション製の新型エンジン「GE9X」を採用した。

 開発は777-9から進められており、9月に飛行試験4号機(777-9、登録記号N779XZ)が初飛行し、すべての試験機がそろった。また、GE9Xは10月にFAA(米国連邦航空局)の認証を取得している。

 主翼は炭素繊維複合材を用いて軽量化するとともに、777のものよりも長くなった。このため、翼端を折りたためる機構を取り入れ、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにした。地上で64.8メートルの全幅は、翼端を展開すると71.8メートルに広がる。

 777Xの胴体外径は777と同サイズになるものの、客室幅は構造変更により4インチ(10.16センチ)広くなる。飛行中の揺れを軽減する「スムーザー」を採用したり、機内の湿度を777よりも過ごしやすい値に改善する。

 航空会社への最初の引き渡しは2021年を予定していたが、2022年に延期。ボーイングの受注リストによると、9月末時点での確定発注は350機で、最多発注はエミレーツ航空(UAE/EK)の156機となる。全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)やブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)、キャセイパシフィック航空(CPA/CX)、エティハド航空(ETD/EY)、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)、カタール航空(QTR/QR)、シンガポール航空(SIA/SQ)が発注している。

 このうち、ANAHDは777-9を長距離国際線に投入している777-300ERの後継機として20機を確定発注。初号機を2021年3月末までに受領する計画だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で2年程度延期する(関連記事)。

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