ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の貨物事業会社ANAカーゴ(ANA Cargo)は10月28日、成田-フランクフルト間のチャーターによる貨物臨時便を定期便化した。年内は週2往復、年明けからは週1往復で、貨物専用の大型機ボーイング777F型機で運航する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、日欧間の旅客便の運休や減便が続く中、ANAグループは5月に羽田-フランクフルト間の貨物臨時便を、大型旅客機の777-300ERを使って週1往復運航。6月からは発着を成田、機材を777Fに変更して運航していた。欧州の貨物需要が引き続き旺盛で、単価も前年に比べて6割程度高くなっていることから定期便化した。
旅客機の777-300ERの貨物室は搭載量29トンだが、貨物機の777Fは最大100トンまで積める。今回の定期便は12月31日までは水曜と土曜の週2往復、2021年1月1日から冬ダイヤ最終日の3月27日までは水曜に週1往復運航する。便名は成田発フランクフルト行きがNH8405便、フランクフルト発成田行きがNH8406便となる。
28日の定期便初便となるフランクフルト行きNH8405便(777F、登録記号JA772F)の積荷は、電子部品や自動車部品、パソコン周辺機器、衛生用品など80トン。ANAカーゴの浦野敏央・成田ウェアハウスオペレーションセンター副センター長によると、貨物コンテナを搭載する位置「ポジション」はすべて埋まる満載の状態だという。帰りの成田行きNH8406便は95トンで、ワインを含む食料品が多いことから往路よりも重量が増える。
ANAカーゴは、777Fを成田-シカゴ線と上海線に週5往復ずつ、今回のフランクフルト線に週2往復投入。年明けからはフランクフルトの1往復分の機材を、春節需要が高まる上海線に充当する。
ANAカーゴは2014年からルフトハンザ・カーゴ(GEC/LH)と航空貨物の共同事業(JV)を実施している。ルフトハンザも、貨物便のフランクフルト-成田線を777Fで週7往復運航しており、28日からは週2往復の関西発着のフランクフルト便をマクドネル・ダグラス(現ボーイング)MD-11Fから777Fに大型化。機材変更により搭載量が増えたほか、ロシア・シベリアのノボシビルスクで給油するテクニカルランディングがなくなり、所要時間を短縮した。
運航スケジュール
NH8405 成田(10:45)→フランクフルト(15:05)
NH8406 フランクフルト(17:25)→成田(翌日13:00)
*12月30日まで週2往復(成田発:水土)、21年1月6日から週1往復(成田発:水)。
臨時便
・ANA、成田-フランクフルト貨物臨時便 777F大型貨物機で(20年6月10日)
ANAカーゴ
・ANAカーゴ、羽田・成田から貨物臨時便 フランクフルトや武漢(20年5月13日)
・ANA、787の客席を貨物スペースに マスク入り段ボール運ぶ(20年4月22日)
・ANA、ルフトハンザ・カーゴと世界初共同事業 冬ダイヤから(14年9月3日)
777F
・ANAカーゴ、777F就航 日本初導入、大型貨物も輸送可に(19年7月2日)
・ANA、777F貨物機お披露目 日本初導入、北米への輸送強化(19年6月13日)
・ANA、777F貨物機7月就航 成田から(19年1月23日)
写真特集・ANA 777Fお披露目
機内編 荷主席にコンセント完備の大型貨物機
外観編 “アオカケス”北米へ大型貨物