ボーイングが開発中の大型機777Xの飛行試験4号機(777-9、登録記号N779XZ)が現地時間9月20日(日本時間21日)、初飛行に成功した。これにより、飛行試験機がすべてそろった。
WH004と呼ばれる4号機は、ボーイングのエバレット工場に隣接するシアトル近郊のペインフィールド空港を離陸。ワシントン州上空を飛行し、ボーイング・フィールド(キング郡国際空港)へ着陸した。ボーイングによると、今後は4号機を使って客室システムの試験などが行われるという。
777Xは777の後継機で、メーカー標準座席数が2クラス384席の777-8と、426席の777-9の2機種で構成。航続距離は777-8が8730海里(1万6170キロ)、777-9は7285海里(1万3500キロ)を計画している。エンジンはGEアビエーション製の新型エンジン「GE9X」を採用した。
主翼は炭素繊維複合材を用いて軽量化するとともに、777のものよりも長くなった。このため、翼端を折りたためる機構を取り入れ、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにした。地上で64.8メートルの全幅は、翼端を展開すると71.8メートルに広がる。
777Xの胴体外径は777と同サイズになるものの、客室幅は構造変更により4インチ(10.16センチ)広くなる。飛行中の揺れを軽減する「スムーザー」を採用したり、機内の湿度を777よりも過ごしやすい値に改善する。
航空会社への最初の引き渡しは2021年を予定。ボーイングの受注リストによると、8月末時点での確定発注は309機で、最多発注はエミレーツ航空(UAE/EK)の115機となる。全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)やブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)、キャセイパシフィック航空(CPA/CX)、エティハド航空(ETD/EY)、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)、カタール航空(QTR/QR)、シンガポール航空(SIA/SQ)が発注している。
このうち、ANAHDは777-9を長距離国際線に投入している777-300ERの後継機として20機を確定発注。初号機を2021年3月末までに受領する計画だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で機体メーカー各社に受領延期を求めていることもあり、先行きは不透明だ。すでにキャセイパシフィック航空は777Xの受領延期に向けた協議を進めていることを明らかにしている。
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ボーイング・ジャパン
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