日本航空(JAL/JL、9201)とパナソニック システムソリューションズ ジャパン(東京・中央区)は9月15日、羽田空港でアバターを使ったリモート案内サービスの実証実験を報道関係者に公開した。地上係員(グランドスタッフ)がアバターを遠隔操作し、非接触・非対面で高品質な接客の実現を目指す。将来的には、地上係員が在宅勤務で空港の利用者からの問い合わせに応じるなど、働き方改革につなげられるかも検証課題に挙げている。
場所は羽田空港第1ターミナル内のJAL国内線搭乗口の一部と、航空券予約・購入・変更カウンター(40番)。パナソニックのアバターを映し出す大型モニターを搭乗口に3台、カウンターに1台の計4台設置し、14日から25日まで実験する。利用者から離れた場所にいる地上係員が、大型モニターに映し出されるアバターを通じて案内する。
両社によると、非接触・非対面ながらも表情が豊かで、対面に近い案内ができるという。アバターが自然な表情になるよう、オペレーターの表情の特徴に応じて反応するようにし、左右の手を挙げたり、お辞儀をするなど定型で登録された7種類の案内動作にも対応。優先搭乗など搭乗順パネルの提示も、従来よりわかりやすい案内を目指す。
羽田空港では現在、乗客数が多い大型機などは1便あたり3人から4人、小型機は1人から2人の地上係員が対応しているが、4人程度で対応する便の場合、1人がアバターの遠隔操作で案内ができるかを検証。空港で働く地上係員も在宅勤務が可能な業務領域を創出することで、子育てをしながら働けるなどの働きやすい職場を作るとともに、業務の効率化が可能な要素を洗い出す。
JALによると、実際の係員を画面に登場させず、アバターにすることで在宅勤務の係員が自宅で制服を着用しなくても案内できるようにして、負担を軽減する狙いがあるという。
実験でアバターのオペレーターを担当した地上係員によると、搭乗口のアバター表示用モニター上部に付いているカメラは広範囲を見渡せないため、混雑状況の把握は難しいものの、操作画面を見続けて応対することによる疲労は特に感じなかったという。
パナソニックは今年度中に今回のシステムの商用化を予定。実証実験は今回のJALが初めてだという。JALは実験結果を基に、導入を検討していく。
*写真は7枚。
関連リンク
日本航空
パナソニック システムソリューションズ ジャパン
・JAL、KDDIの5G利用開始 国内航空会社で初、整備支援など活用
・JALとKDDI、5Gで遠隔整備やタッチレス搭乗口検証 8K映像活用も(19年3月19日)
・JALとKDDI、5G活用した空港サービス実証実験 スマホ出さずにチェックイン(18年11月6日)
・ANAHD、遠隔交流アバター「newme」 片野坂社長「加速度的に増える」(19年10月16日)