日本航空(JAL/JL、9201)は9月1日、ドローンなどの無人航空機を管理・運航する人財育成プログラムを開始すると発表した。日本初となる、パイロット訓練のノウハウを活用した座学カリキュラム講座「JAL Air Mobility Operation Academy(JAMOA、ジャモア)」を10月5日から運営する。2017年に開いた社内向けビジネスコンテストで優勝した案を事業化した。
座学カリキュラムでは、航空機事故などの要因になるヒューマンエラー防止につながるプログラムを提供する。パイロット訓練のノウハウを応用したプログラムで、認知力や判断力、コミュニケーション力など「Non-Technical Skills(ノンテクニカルスキル)」の向上を図る3コースのほか、無人機の産業利用に必要な操縦技能や活用技術など「Technical Skills(テクニカルスキル)」を学べるコースを用意する。
Non-Technical Skillsは3コースに分かれ、安全を維持する基本的な考え方を学ぶ「Standard」、コミュニケーションエラーを防ぐ「Advanced」、指導者を育成する教官向けプログラムを一般向けに講義する「Instruction Skills」を提供。いずれも座学で、期間は1日間となる。StandardとAdvancedはオンラインでも受講できる。Advancedの受講にはStandardが、Instruction Skillsの受講にはAdvancedが、それぞれ必要となる。講師はJALのスタッフが務める。
Technical Skillsは3日間の座学で、カメラ用語やドローンの設定方法などの基礎知識のほか、活用技術などを講義する。受講にはNon-Technical SkillsのStandardが必要となる。
各コース10人程度を募集する。受講料はいずれも税込みで、Standardが16万5000円、Advancedが22万円、Instruction Skillsが27万5000円。Technical SkillsはStandardと合わせ55万円となる。
ドローンなど無人航空機は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染リスク低減など新たな生活様式への活用が期待されている。無人航空機のオペレーターには、安全運航の技術とリスク察知し回避する安全意識が求められる。JALはこれまで、ドローンの優れた操作技能者を認定する「ドローンPROパイロット技能認定会」への協賛や、長崎県内の離島空港間を無人ヘリコプターでつなぎ貨物輸送を遠隔操作する実証実験などを重ねている。
JALは2017年に社内向けのビジネスコンテスト「創造の翼」を開催。76人が応募した案のうち、現在はJAL事業創造戦略部モビリティグループに所属する高田淳一さんが提案した「本気のドローン操縦士養成スクール」が優勝した。
※高田さんの「高」は「はしごだか」
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JAL Air Mobility Operation Academy(日本航空)
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