日本航空(JAL/JL、9201)と合併前の日本エアシステム(JAS)が導入したボーイング777-200型機の初号機(登録記号JA8977)が8月26日夜、羽田空港を離陸し米国の売却先へ向かった。旧JASの777が退役したのは初めて。今後は後継機のエアバスA350-900型機などへの置き換えが進む。
JASの777は「レインボーセブン」の愛称で親しまれ、計7機導入。国土交通省航空局(JCAB)の登録記号ではJA8977から8979とJA007Dから010DがJASの777になる。初号機のJA8977は、現地時間1996年12月3日に米シアトル近郊のエバレットでJASに引き渡され、同社の舩曵寛眞(ひろみ)社長(当時)や機体をデザインした渡部真丈君(当時中学2年生)らが式典に出席した。
初便は1997年4月1日の羽田発福岡行きJD303便(定刻羽田08:35→福岡10:15)で、受領当時の座席数は3クラス380席だった。スーパーシートが12席(2-2-2配列)、レインボーシートが38席(2-4-2配列)、普通席が330席(2-5-2配列)で、シートメーカーはウェーバー(現ゾディアック・シート・US)だった。JALへ移管後はW91配列と呼ばれていた。
退役時のシート仕様になったのは2017年8月3日。W16と呼ばれる3クラス375席の「JALスカイネクスト」仕様で、ファーストクラス14席、クラスJ 82席、普通席279席となり、今年1月28日の新千歳発羽田行きJL524便がラストフライトになった。スカイネクストの改修初号機は、同じく元JAS機のJA007Dとなった。
26日のフェリーフライト(回航)の便名はJL8132便で、羽田を午後8時に出発し、C滑走路(RWY34R)を午後8時13分に離陸した。同便はホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(旧称ホノルル国際空港)を経由し、ビクタービル(米カリフォルニア州)へ向かう。JALの機体が売却先へ向かう際に一般的な白一色の塗装“白塗り”で、機体のロゴなどを消した状態で日本を離れた。
JALの777は、国内線機材の777-200が15機(JAL 8機+JAS 7機)と777-300が7機、国際線機材の777-200ERが11機、777-300ERが13機。これまでに777-200は6機、777-300は3機が退役し、777-200ERもJA704Jが初めて運航を離脱して、7月1日に羽田から売却先のビクタービルへ向かった。
JALは2019年9月1日にA350を羽田-福岡線に就航させ、国内線機材から777の退役を進めている。A350の確定発注は標準型のA350-900が18機、長胴型のA350-1000が13機の計31機で、このほかにオプション(仮発注)で25機購入する契約を結んでいる。A350-900は主に国内線用777-200の、A350-1000は長距離国際線用777-300ERの後継となり、A350-1000は2023年度以降の就航を計画している。中距離国際線用の777-200ERは、同じビジネスクラス「スカイスイートIII」を搭載する787-9などで置き換え、運航コストや環境負荷の低減を図る。
*写真は14枚。
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