エアライン, 空港, 解説・コラム — 2020年8月10日 23:59 JST

飲食テーブルに透明アクリル板も　特集・伊丹空港ターミナル半世紀ぶりリニューアル

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　伊丹空港が開港75周年を迎えた2014年、ターミナルの改修計画が発表された。南北に分かれている到着口を中央に集約し、商業施設を拡充するといった基本的な構想はこの時点で決まっており、2016年秋に中央エリアが先行開業、2020年春に全面開業というスケジュールだった。しかし、資材高騰などの影響から工事内容を見直し、2016年2月に先行開業を2018年春、全面開業を2020年8月と改め、実際のオープンは2018年4月18日の先行開業を経て、2020年8月5日のグランドオープンとなった。

約50年ぶりに全面リニューアルした伊丹空港南側のウォークスルー型商業エリアの飲食ゾーン。テーブルには透明なアクリル板が設置されていた＝20年8月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　正式名称は大阪国際空港である伊丹空港は、1939年1月17日に開港。2019年に開港80周年を迎えた。現在のターミナルは大阪万博開幕を控えた1969年に開業し、約50年ぶりのリニューアルとなった。関西初や空港初出店の店舗も含め、保安検査場通過後の制限エリアに31店舗、検査前の一般エリアに5店舗がオープンした。

　南北に2カ所ある保安検査場は、南側を全日本空輸（ANA/NH）、北側を日本航空（JAL/JL、9201）が主に使用しており、それぞれ保安検査場を抜けたところから搭乗口近くまでを「ウォークスルー型」の商業エリアとし、保安検査場自身も検査時間を短縮する「スマートレーン」を本格導入した。ウォークスルー型商業エリアは国内線ターミナルでは日本初導入で、航空各社からは定時出発への影響を懸念する声もあり、今後の出発実績や利用者の声がどのような形になるかが気になるところだ。

約50年ぶりに全面リニューアルした伊丹空港北側のウォークスルー型商業エリアの物販ゾーン＝20年8月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

テーブルには透明なアクリル板が設置された伊丹空港南側のウォークスルー型商業エリアの飲食ゾーン＝20年8月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　商業エリアの店舗は物販ゾーンと飲食ゾーンに分け、保安検査場を出て物販ゾーンを通過後に飲食ゾーンに入り、搭乗口へ向かう流れになる。物販ゾーンには土産物やみたらし団子、チーズケーキ、旅行用品、関西の名産品などが並び、飲食ゾーンにはたこ焼きやうどん、すし、ラーメンなどの飲食店が並ぶ。空港初出店となる焼きたてパンの「メゾンカイザー」や、コーヒーショップの「スターバックス」など、各地で目にする店舗もそろう。

　飲食エリアのテーブルには、対面する席と席の間に透明なアクリル板が設けられ、新型コロナウイルス対策も盛り込まれてのグランドオープンとなった。

　一般エリアでは、これまでテイクアウトのみだった豚まんの「551蓬莱（551HORAI）」がリニューアル前のように南ターミナルの店内で食事が可能になったほか、北ターミナルには上島珈琲店がオープンした。

　伊丹を含む関西3空港を運営する関西エアポート（KAP）の山谷佳之社長は、「関西らしさを残し、空港の機能強化、ワクワク、ウキウキする工夫、新しい価値の提供をしていきたい」と5日の開業式典であいさつした。

　伊丹市の藤原保幸市長は「空港と地域の相乗効果が生まれると思うので、情報発信の基地になってほしい。コロナに打ち勝つステップになる」と述べ、清酒発祥の地を掲げる伊丹市が神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市とともに申請し、6月に認定された日本遺産を契機に、日本酒の情報発信もしていきたいという。

＊写真は30枚（店舗リスト下に掲載）。

新規開業のレストラン（伊丹空港ウェブサイト掲載順）
南ターミナル保安検査後のレストラン
道頓堀今井（うどん・丼）、むぎとオリーブ（銀座ラーメン・蛤SOBA）、鶴橋白雲台（コリアンダイニング）、堺銀シャリげこ亭（和定食・魚料理）、たこ家道頓堀くくる（たこ焼・明石焼）、寿司魚がし日本一（立ち食い江戸前寿司・丼）、スターバックス（スペシャルティコーヒーストア）、ViTO（ジェラート・軽食・アルコール）

南ターミナル保安検査前のレストラン
551蓬莱（中華レストラン・テイクアウト）

北ターミナル保安検査後のレストラン
天然本まぐろありそ鮨し（鮨・和食）、京出汁おいなり釣狐（いなり寿司・和食・甘味）、どうとんぼり神座（ラーメン・中華）、美々卯空味（うどん・そば・丼）、大阪たこやきたこぼん（たこ焼き・いか焼き）、ラウンジ＆バーグラン・ブルー（バーラウンジ・軽食）、& COFFEE MAISON KAYSER（ベーカリーカフェ・軽食）

北ターミナル保安検査前のレストラン
上島珈琲店（カフェ・軽食・コーヒー）

新規開業のショップ（伊丹空港ウェブサイト掲載順）
南ターミナル保安検査後のショップ
浪芳庵（炙りみたらし・和菓子）、中村藤吉本店（日本茶・京スイーツ）、アンリ・シャルパンティエ（芦屋スイーツ・洋菓子）、いっぴんさん。（食品・雑貨・関西の逸品）、カルビープラス（揚げたてスナック・お土産）、豊岡鞄（鞄・革小物）、じゃらんマルシェ（セレクトショップ・お土産）、ANA FESTA（お土産・書籍）、ANA FESTA（コンビニエンスストア）

北ターミナル保安検査後のショップ
りくろーおじさんの店（焼きたてチーズケーキ・カフェ）、喜八洲総本舗（みたらし団子・和菓子）、中川政七商店分店旅（お土産・旅行用品・生活雑貨）、タビ・ソラ（お土産・和スイーツ）、ソラデリ（お土産・お弁当・雑貨）、ITAMI Marché BLUE SKY（お弁当・お土産・雑貨）、タビタスプラス（旅行雑貨・バッグ類）

北ターミナル保安検査前のショップ
諸國屋（ギフト・お土産）、HMV&BOOKS SPOT（本・音楽・文具・雑貨）、靴修理専門店 RESH.（靴、鞄のメンテナンス・合鍵制作）

南ターミナル

約50年ぶりに全面リニューアルした伊丹空港南側のウォークスルー型商業エリアの物販ゾーン＝20年8月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire