ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANAウイングス(AKX/EH)が6月まで運航していたボーイング737-500型機「スーパードルフィン」のうち、最後まで羽田空港に留め置かれていた機体(登録記号JA307K)が8月4日朝、羽田空港から上海の北に位置する中国・南通へ向かった。胴体や垂直尾翼に描かれていたロゴやステッカーは、エンジンカウルのドルフィンを除いてすべて消されていた。JA307Kの離日により、日本の航空会社が運航していた「737クラシック」と呼ばれる第2世代の737は姿を消した。
737-500は25年前の1995年7月21日に1路線目の福岡-鹿児島線に就航し、離島を含む地方路線に25機が投入された。「スーパードルフィン」の愛称は、当時のエアーニッポン(ANK/EL、現ANA)が社内公募を行い、機体がイルカに似ていることや、小回りが利いてスピード感があること、元気で親しみやすいことなどの理由で名付けられた。
座席数は1クラス126席で、ANAグループが運航する737の中でもっとも小さい機体だった。カウルにドルフィンが大きく描かれたエンジンは、CFMインターナショナル製CFM56-3を採用。従来よりも大型化したため、正面から見ると空気を取り入れる「インテーク」下部が平たく見える「おにぎり型」なのが特徴だった。残り3機となった2019年12月からは、前方左側の乗客が乗降に使う「L1ドア」付近とエンジンカウルにデカールが貼られた。
最終便となった6月14日の福岡発羽田行きNH254便は、JA306Kで運航。最後の3機は、エア・ドゥ(ADO/HD)へリースされ特別塗装機「ベア・ドゥ ドリーム号」として運航されたJA305Kが7月23日、最終便に使用されたJA306Kが29日に日本を離れており、JA307Kが最後まで残っていた。1999年7月21日に受領したJA307Kは、約20年8カ月にわたり日本各地を飛んだ。
4日は、羽田空港第2ターミナル前の83番スポット(駐機場)から午前8時18分すぎにフェリーフライト(回航便)の南通行きEH5673便として出発。A滑走路(RWY16R)から午前8時31分に離陸し、先に離日した2機と同じく中国東部・江蘇省にある南通興東空港へ向かった。
ANAでは退役した737-500のうち、JA301Kを整備訓練専用の機材として2018年から再利用している。
関連リンク
全日本空輸
ANAウイングス
Boeing
ボーイング・ジャパン
JA305Kから離日
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機内編 アナログ計器やシート灰皿跡が四半世紀物語る
外観編 イルカ描かれたエンジンカウル
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