2010年1月に経営破綻した日本航空(JAL、9201)への公的支援について検証を行った国土交通省の有識者会議「公的支援に関する競争政策検討小委員会」は5月23日、報告書をまとめた。今後の公的支援では、競合する他の航空会社から再建計画の内容について事前に意見を募る。
報告書では公的支援のあり方について、海外の事例として各国の航空会社間で健全な競争環境を確保する必要がある欧州連合(EU)と、多くの航空会社による競争が活発な米国の例を挙げた。
日本の空運業はJALと全日本空輸(ANA)の大手2社による実質的な寡占状態にあることから、競合他社の意見を公的支援の実施前に募るEUの制度を参考にすることが適切だとした。一方で、新路線の開設や運賃の値下げの制限を盛り込むことは見送った。
また、欧米では行われていない政府による破綻航空会社の監視にも言及。JALに対する監視は、EUのように再建計画の内容について関係者の意見聴取が事前に行われなかったことから、2016年度までの中期経営計画が終了するまでは健全な競争環境が確保されているかを監視するとした。委員からは、「過剰な監視になってはいけない」との注文が出た。
小委員会では航空会社への公的支援について、昨年11月から4回の議論を行った。
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国土交通省